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アーカイブ: 2009/08/02

第3回「出会いがしらの一期一会」(全4回)


タクシードライバーとは
ごくありふれた市井の“働くおっさん”代表である
タクシー運転手に気さくに話しかけ、そのフツーの人生の中に
ささやかなきらめきを探す、何の変哲もないインタビュー企画。


第3回「出会いがしらの一期一会」(全4回)
(担当:福田フクスケ)

タクシー運転手は固定給ではないので、
個人の売り上げによって儲けが決まる。
だから、滅多にいない長距離客を待つよりは、
一日にできるだけたくさんの客を乗せるに越したことはない。

しかし、そのぶん見ず知らずの他人と、
狭い車内で2人きりにならざるを得ないのは、
危機管理という面でなかなかにリスキーだ。
現に、都内ではタクシー強盗がしばしば発生しているし、
それがそのまま殺人事件に発展してしまったケースもある。

taxi_sub2

実際、タクシードライバーのみなさんは、
危険な目に遭ったことはないのだろうか?
私がこれまでに出会った運転手たちの回答をまとめてみた。

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2009年5月1日 Aさんの場合
A「危ない目にあったことは何度かありますね。
暴力振るうのは、酔っ払って威張った奴がほとんどです。
逃げられたりもけっこうあるよ。
逃げたのを追っかけたところをやられちゃった人もいるしね。
そういうのは、運が悪いと思ってあきらめるしかない。
ただ、昔はタクシー強盗なんて少なかったんだけどねえ…」

2009年5月15日 Sさんの場合
俺「夜中とか、危険な目に遭ったことないですか?」

S「そういう風に思ってたら、お客さんにはお乗りいただけませんよ。
最終的には信頼関係ですからね。こんな仕事できなくなっちゃう」

俺「そうか…さすがですね」

S「まあでも、こういうこと言っちゃ失礼かもしれませんが、外人の方はこわいですよ。
全員が全員じゃないのはわかってるけど、身構えますよ」

俺「何かあったんですか?」

S「初乗りが660円の時代でしたけど、飯田橋から乗ってきた方に
“市ヶ谷まで”って言われて、神楽坂下の信号で停車した途端に、
500円くらいポイと投げて、ドア開けて逃げていっちゃったんだ。
お金が足りなくなって、やばいって思ったんだろうね・笑」

2009年5月20日 Nさんの場合
俺「最近じゃ、タクシー強盗とかあって、怖くないですか?」

N「タクシーの運転手襲ったって、金なんか持ってないのにねえ(笑)。
うちの運転手でも、2ヶ月くらい前にいましたよ。
真っ昼間に、ネクタイで手足縛られてナイフ突きつけられたって。
幸い、私はそういう目に遭ったことないですけど、周りではやっぱり聞きますね」

2009年6月25日 Tさんの場合
俺「客を乗せて、怖い思いしたことありますか?」

T「怖かったのは、のど元にノミを突きつけられたことですね」

俺「ええー」

T「無線で呼ばれて行ってみたら、女の子が一人助手席に、
大工が2人後部座席に乗ってきたんですよ。
たぶん、酔っ払って、飲む店を移動したかったんでしょうね。
そしたら、女の子のほうが、“ねえ、運転手さん…”なんて言って、
ちょっとしなだれかかってきたんです。
そしたら、後ろの2人が怒っちゃって…」

俺「それだけで!? とんだとばっちりですね」

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う、うーん……。
こんなこと言っちゃいけないんだろうけど、
正直、あんまりパンチのあるエピソードは聞けなかった。

なんかもっと、「アラブ人に身ぐるみはがされて…」みたいなバイオレンシーな、
「振り返ると座席がびしょぬれで誰もいなかった…」みたいなイナガワジュンジーな、
そういうすべらない話を期待していたのに。
まあ、みなさんご無事でなによりです。

それよりも、誰もが口をそろえて
「厄介な客」として非難轟々だったのが、
実は酔っ払いなのだった。

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2009年5月20日 Nさんの場合
N「めんどくさいお客さん乗せるのはしょっちゅうだね。
特に、酔って爆睡してる人は困りますよ。
何回道を聞いてもまっすぐだ、まっすぐだって言われて、
着いたら“ここじゃない”って言われたり」

俺「うわ、めんどくさいですね」

N「乗せる前から、この人はやばいなってのは目つきとかでわかるようになりましたね。これは寝ちゃいそうだなとか、これは揚げ足とられてイチャモンつけられそうだなとか」

俺「やっぱり、あるんですかそういうクレームは」

N「今はみんな携帯持ってますから、何かあると
その場でうちの会社にクレーム電話かけるんですよ。
だから、こっちはこっちで「いや、そうじゃない」って
事情を説明するために電話かけて…。
面と向かってるのに、会社を通しながら
電話越しにケンカしたりしますよ(笑)」

2009年5月1日 Aさんの場合
A「私ももう、60歳なんでね、最近は繁華街も行かないようにしてるんですよ。
酔っ払いも乗せないの。売り上げは落ちるけど、そっちのほうが気が楽だから。
遠回りしただの、寝過ごしただの、トラブルが多いし。
向こうの指示があやふやでも、こっちのせいになっちゃうじゃない。
だったら、同じ料金なら普通の人乗せたほうが、ねぇ」

俺「やっぱりいるんですね、そういうめんどくさい人」

A「一度、荻窪で乗せた方がひどく泥酔してましてね、
“荻窪までやってくれ”って言うんですよ。
“お客さん、ここが荻窪ですよ”って言っても、全然わかってくれない。
仕方ないから、その辺をぐるっと回って元いた駅前に戻ってきたら、
“ありがとう”って納得して、普通にお金置いて帰っていきましたよ(笑)」

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お、いいぞいいぞ。
だんだんおもしろくなってきた。
Aさん、その調子で、タクシー乗客の
おもしろエピソード、聞かせてちょうだい。

俺「ほかに、ちょっとおもしろいというか、困ったお客さんは?」

A「オカマが隣に座ってきて、若い運転手だと
誘ってくる、なんてことはけっこうありますね。
ホテルの部屋番号を教えられて、“遊びにきて”なんて言われたり」

なんと、第1回に引き続き、またしてもオカマ誘惑体験談
もちろん、第1回の蕎麦屋の御曹司に連れまわされた人とは別人だ。
ひょっとしたら、タクシー業界では割とポピュラーなできごとなのだろうか。

ところが、このAさんの場合、モテるのはどうやらオカマにだけじゃないらしい。

A「女性でもいらっしゃいましたね。東京駅で乗せた方が、
熱海の芸者だっていうきれいな人なんですけど、
男と別れたって言ってたんで、自暴自棄に
なってたんでしょうね…ホテルに誘われたんです

俺「おお、あるんですねそんなことが」

A「結局、熱海まで行く途中の新横浜で下ろしましたけど。
だって、向こうは誰かもわからないのに、
こっちは会社も車も名前もわかってるからね、
何かしちゃって、そっちのほうが後で怖いでしょ(笑)」


ナイス、賢明な判断
据え膳を食わなかったのは男の恥かもしれないが、
タクシー運転手的には男の鑑だ。

このように、タクシー運転手は運転技術だけでなく、
多種多様な乗客の「めんどくささ」までをも
さばく処理能力が必要とされるのだ。

タクシーという小さな方舟に乗り合わせた運転手と客。
その出会いは、つかの間の一期一会だが、
だからこそ、後腐れなくやり過ごす独特な関係が、そこにはあるのだ。
それでは最後に、ちょっとシュールな体験談を。

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2009年5月15日 Sさんの場合
俺「今までに、おもしろいお客さん乗せたことあります?」

S「おもしろいというか、かわいそうだったのは、神楽坂から東久留米まで行った方でね。
どういう心境だったんでしょうね、乗ってから着くまでずーと、
『カラスなぜ鳴くの~』を歌ってるんですよ」

俺「ずっとですか(笑)」

S「まあ、何かあったんでしょうね(笑)。
後ろであの歌うたわれると、さびしいもんですよ。ずっとですからね。
退職されたのか、なんなのか知りませんけど、
切なくなりましたねぇ、あれは。
聞くに堪えなかったですね

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乗客との出会いは、ときに出会いがしらの事故みたいなもんなのである。

次回、いつの間にやら最終回!
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アカルイシタイ―アカルイけどやっぱり死んでる―

アカルイシタイ―アカルイけどやっぱり死んでる―とは

「底ぬけに明るい気持ちで死体写真を撮ってみよう」というコンセプトのもと、ONCメンバーがこぞって野外に繰り出した、初のアウトドアグラビア系企画。どんな戦場写真よりも世知辛く、どんな青写真よりも甘酸っぱい、でもやっぱり死んでるじゃん、な写真たちを一挙紹介。



どうも~こんにちは!大塚ニューコーポの狂える鬼番長こと、肉布団京一です。


さて、今回、ONCメンバーはせっかくの休日をまるっと返上して、うだるような暑さの「日本のセントラルパーク」こと代々木公園で、この上なく爽やかな青春系グラビアコンテンツの制作に着手しました。


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(当日は嘘のような快晴でした。)


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(まさに都会のオアシス。皆さん揃って光合成中。)


タイトルはずばり、「アカルイシタイ―アカルイけどやっぱり死んでる―」です。

 
生きとし生けるものは皆、いつかは死んでしまうもの。


そして、亡き骸となった死体はどこか不気味で異様で、ついつい目を背けたくなるものです。


しかし、超高齢化社会を迎えつつある日本で生きる我々の死体遭遇率は、日増しにウナギ登りという現実があります。


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(超高齢化社会への啓示でしょうか。)


ゆえに、こうして、街中でバッタリと出会ってしまう場面も少なくないでしょう。


ただ、それを目の当たりにする度、いちいち落ち込んでいたら、生きていけません。


そんな世界と、上手に渡り合っていくためのひとつの手段をご提案するのが、このアカルイシタイなのです。


シタイという言葉は、すべてをポジティブに転換し、「死んでいたっていいじゃないか」、「死んでいる方が素晴らしいぞ」という悟りの境地にまで、我々を導いてくれるはずです。


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ではさっそく、夏場の草むらでよく見かけるこんな風景の紹介から、この企画をスタートしたいと思います。


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(直立死)


最もオーソドックスな、基本に忠実なタイプのシタイだといえるでしょう。


死にながらにしてきちんと直立したその姿勢に、生前の礼儀正しい人柄を感じさせます。


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(直立死ダブル)


よくみると奥にもシタイです。


まるで来るべき、地球の未来を予見しているかのような風景です。


しかし、これを笑顔で受け入れてこそのアカルイシタイ。


涙をぐっとこらえて次の写真にまいりましょう。


続いては、こんな清々しいスポーツの風景。


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(バドミントンを楽しむ若者たち)


実に楽しそうにバドミントンに勤しむ若者たち、という感じがしますが、でも実は…


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(あれ…)


死んでます。


おそらくは遊んでいる最中に亡くなったのか、非常ににこやかでかつはつらつとした表情をしていらっしゃいます。


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(お前もか・・・)


でも死んじゃってます。


傍目に見れば大惨事ですが、全く悲壮感の漂わないところが、実にアカルイですね。


続いてはこんな風景。


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(野球を楽しむ若者たち)


あなたまさか、「あっ、分かった!バッターが死んでるんでしょ」とか思っていませんか?


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(ストラァァァイクと思ったら…)


バッターは健在です。


今回は…


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(あーらら)


キャッチャーが死んでます。


どことなく笑みを浮かべているように見えますね。


この笑顔こそが、シタイの真骨頂です。


公園内をウロウロしていたら、あれ、あんな所にもシタイがありますねぇ。


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(どうしたんだろうか)


おやおや、でもちょっと様子がおかしいですよ。


近づいてみましょう


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(まさかの過剰摂取なのか)


やややっ!


もしかして、禁断の薬物に手を出してしまったのでしょうか。


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(なーんだ、あのおいしい奴か)


と思ったらラムネでした。


定番の味が口内の水分を奪うあまり、ぽっくり逝っちゃったんでしょうか。


そうこうしてる間に、あちらで何か撮影会が行なわれているようです。


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(ちゅーちゅーしちゃうぞ)


まあなんとも、本家の「某カルイ某ダカ」にも負けない見事な裸体です・・・が既にお亡くなりです。


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(カモン!ホワイト・スネーク)


コブラは(本当は)危険な生き物ですので、決して真似しないでください。


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(立つんだジョ・・・あ、死んじゃってるや)


撮影と人生、お疲れ様でした。


あれ、あっちからはなんだかいい匂いがしますね。


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(何の途中なのか、想像も付きませんね)


なんだか今までになく、汚らしい状態ですね。


どうしちゃったんでしょうか。


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(現代ファストフード文化への警鐘・・・とは言えないか)


へそにピンポイントで置かれたピクルスと、お腹のメッセージが気になります。


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(ハンバーガーはこのあとスタッフがおいしくいただきました。)


なにをそんなに焦ることがあったんでしょうか。


すっかりコマ切れだし…来世では、彼に誰かハンバーガーの食べ方の正しいメソッドを教えてあげてください。


おや、なんだかあっちの方が盛り上がってるみたいですよ。


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(木陰でパーティなんて最高やん)


野外でパーティですか?


とんがり帽子までかぶってずいぶん楽しそうですね


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(ぱぱーん・・・あれ?)


クラッカーまで鳴らしちゃったりして、パーティもいよいよ本格化してくるところなのですが・・・


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(美しすぎる死にザマをありがとう)


びっくりして皆さん逝ってしまわれたようです。


残念ながら、全滅。


クラッカーを刀と見立てれば、彼らは現代の白虎隊といったところでしょうか。


…違いますね。


さて、早くも最後になりますが、ご家庭にあるシタイを使ってどなたでも手軽に楽しめるのがこちらになります。


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(ガリバー?)


その名も、シタイ盛り。


陰鬱になりがちな通夜振る舞いの雰囲気ですが、故人とのお別れをしつつも参列者のお腹も満たせる、アカルイシタイの究極形がこちらです。


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(盛りつけはイメージです)


参列者の皆さんも実に楽しそうです。お箸が進みますね。


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(撮影用に腐りかけの食品のみを使用しております)


故人も報われたことでしょう。


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(この後、スタッフが我慢しながらいただきました。)


故人もこんなに笑っています。


きっと喜んでいるのでしょう。


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いかがでしたでしょうか。


来るべき超高齢化大恐慌時代において、街中に溢れるシタイの数々といかにうまく渡り合っていくかというのは、21世紀を生きる我々に課せられた最も大きな命題のひとつです。


この命題に対する現代社会が出した答えがこの、「アカルイシタイ」なのです。


シタイから目を背けることなく、むしろそれを楽しみ、喜び、歓迎し、そこに煮干しやたまごボウロが乗っかっていれば、すすんで箸を向けるくらいの前向きさを持つことが、霊長類最前線、ホモ・サピエンスのはしくれとしての正しいあり方なのではないでしょうか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それでは次回、「アカルイすかとろ」でお会いしましょう。


ごきげんよう。


肉布団京一
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