- 2011.08.06 Saturday
- すばらしきバカポエムの世界(全3回)
アルミルコ、大変だ! 大変だよ!
どうしたの贋作さん、医者からうつ病の診断書でも突きつけられたの?
やめろよ! いきなりデリケートな暴露しないでよ! 本当だったらどうするんだよ! 男の子の心はひび割れたビー玉なんだからな!
※この記事はフィクションであり、登場人物は架空のキャラですし、うつ病は実在しない架空の病気です。
ごめんねごめんねー!(神演技を見せたこのときの言い方で) じゃあ何? 何の診断書を突きつけられたの?
診断書から離れて! あと、文書って普通あんまり突きつけられたりしないぜ? ハルノートじゃないんだから! ハルノートじゃないんだから!
凶器はナイフ…? それは違う…! 論破!
あれ? ひょっとしてこの人、俺の渾身の「戦時たとえツッコミ」をスルーしている…?
…あ、ごめん「ダンガンロンパ」に夢中で聞いてなかったわ。なに?
…うん、もういいや。じゃあ諦めて本題に入るけど、実は明日の国語の現代文のテスト勉強をしていたら、まったくわからない単元があったんだ。
…………え?(まったく意に介さない、という表情で)
だから、明日の国語の現代文のテスト勉強をしていたら、まったくわからない単元があったんだ。
…………え?(やだコイツ何言ってんのマジわかんない、という表情で)
だ、だから、明日の国語のテ……わかったよ、俺たちが今さら「高校生」という設定のキャラになるのは無理があるって言いたいんだろ?
…………ふぅー(口からタバコの煙をくゆらせながら)
そこをなんとか…!
…………ふぅー(口からようかいけむりをはきだしながら)
お願いします! 高校生っていう設定でやらせてください!(土下座)
……やだ贋作さん、まだ明日の試験勉強してなかったの?
(よかった、思いが通じた…!)てっへへ、そうなんだ。この詩なんだけど、作者が何を言いたいのか全然わからないんだよ。ちょっと読んでみて。
「梅毒だもの」
みんなが僕を見つめてる
チクタクチクタク
しっかり溜まった赤い僕
みんなが僕を気にしてる
ごはんにちょい足しおいしいよ?
食パンマンには負けられない
みんなは僕が大好きさ
てんぴぼしはやめてくれ
赤い羽募金は僕の趣味
だって梅毒
僕は梅毒
漏れろ漏れろモレモレロ
今夜のおまえは4畳半
こ、これは……?
な、ヤバイだろ? 読んでると心がざわっとするだろ?
(バンッ!)
え、なに? なんの音?
…あ、ごめん、戸惑いのあまり、思わず読んでた辻村●月の本を壁に投げつけちゃったわ。
…いっぺん怒られろ。
いやーこの詩はないわーこれはないわー引くわーないわー。作者の心の闇の深さを感じるわー。なんらかの診断書を突きつける必要性があるわー。
すぐに診断書突きつけないで! あと、診断書から離れて!
困ったわねー。こんな詩がテストで出題されたら完全にお手上げよ。贋作さんは内申書より診断書のほうが大事でしょうけど、私は部活も勉強も両立させたいから、これはゆゆしきことよ。
高校生という設定に乗ってくれたのはありがたいんだけどなー……
ていうか、こんな××××の人が書いたみたいな電波ポエム、授業で習った?
それが全然覚えてないんだよ。文学史の教科書に出てきたような気もするんだけど……。ちなみにそれ、完全に差別用語だからね? 伏せ字はずしたら問題になるやつだからね?
だってこれ、明らかに×のふれた人が書いた詩でしょ?
怒られちゃえよ! いっぺんしかるべき人にしっかり怒られちゃえよ!
ふぉっふぉっふぉ。だいぶお困りのようじゃの。
…え、いきなり誰?
空耳? それとも×きちがいかしら?
そこは伏せ字にしなくていいんだよ! ちゃんと「聞きちがい」って書かなきゃ、それこそ誤解されちゃうだろ!
ふぉっふぉっふぉ。お前たちが今、読んでいる詩は、「文学史上の死角」と呼ばれている詩の一流派・バカポエムなんじゃ。
あなたは…?
ワシの名前はますらおでぶ。何を隠そう尻を隠そう、バカポエムを考案した張本人じゃよ。
この詩、バカポエムっていうんだ!
バカポエムを読み解くには特別なコツが必要なんじゃ。このコツさえマスターしてしまえば、定期テストはもちろん、大学入試でも役に立つぞい。
ところであなた、わざとおじいさんっぽい喋り方をしているけど、見た感じめちゃくちゃ若いわよね? ていうか、ほとんどタメじゃない?
むりやりしわがれた声を作って低いトーンでしゃべるから、聞き取りづらいんだよ。ふつうにしゃべってくれない?
あ、ほんとに? ふつうでいい? それならそれで助かるよ!
めっちゃフランクですやん。
あと、菓子パン食いながらでもいい? 「マロン&マロン」食ってていい?
それ、親の仇みたいに甘いやつだ! カロリーの権化みたいなやつだ!
最短のセリフ数でデブキャラを効率よく伝えてくるわね。
モグモグ…バカポエムは、モグ僕がモグモグ6~モグ7年前にモグモgめたばかりモグモグ詩。モグからモグ品モグ少しモグモグモ…
お約束が過ぎるよ! 先にパン食べていいから!
モグモグ…ングンガ。きめこまかいツッコミをバシバシありがとう! バカポエムはね、僕が6~7年前にはじめたばかりの即興詩なんだ。だから作品数も少ないし、少しの勉強で確実な得点源にできるんだよ!
ていうか、6~7年前って…
むちゃくちゃ歴史浅いじゃないか!
しばらくブランクもあったから、実質作ったのはここ1~2年かな。去年までは大塚ニューコーポのラジオ企画「大塚豚ラジオ」の1コーナーだったよ。現在は「大塚ニューラジオ」のトップコーナーを飾っているよ。
いきなり説明セリフになった……。
これ、本当にテストに出るのかな……。
ちなみに、バカポエムには厳格な定義があるんだ。
バカポエムの定義
一、作者はいずれもますらおでぶである。
一、自分の知らない言葉をお題にする。
一、語感などのイマジネーションやインスピレーションを大切にする。
一、言葉の意味にとらわれて、解釈しようとしない。
一、基本的に5分以内で書く。
一、書き直しや、付け足しをしない。
一、うまいことを言おうとするのは、一番の御法度。
へえ……つまり冒頭のポエムから判断するに、ますらおさんは 「梅毒」という言葉の意味を知らなかったってことね?
だって「みんなが僕を見つめてる」って、いきなり梅毒を擬人化しているもんな。
性病を擬人化する発想は、常人には及びもつかないわね!
待って! おでぶさんはひょっとして、「梅毒」のことを直観的に「梅肉」的なカテゴリの言葉としてとらえたんじゃないか?
なるほどね。そう考えると「ごはんにちょい足し」「てんぴぼし」という驚愕のフレーズがあらわれた動機も、まあわからなくはないわね。
これまでただの●●●●のたわごとだと思っていたポエムが、定義を知ったことで格段に読み取りやすくなったぞ!
お、ふたりともバカポエムを読み解くコツが少しだけわかってきたみたいだね。あと「おでぶさん」って呼ぶのやめろ。●●●●はもってのほかだからな。
でも待って。「赤い羽根募金」とか「食パンマン」はどういう意味かしら?
そうだよな。これらの言葉は、梅とはなんの関係もないぞ…?
デブ野郎の考えていることがちっともわからないわ!
ほらほらふたりとも、定義の3つめ「言葉の意味にとらわれて、解釈しようとしない」を忘れちゃだめだよ! あと「デブ野郎」はあんまりだよ。
そうか、意味を考えちゃダメなのね。クソデブポエム野郎が思いつきで浮かんだ言葉を並べていく、その意識の流れを想像するのよ!
わかったぞ! ●●●●ふとり詩人は、ただ“梅は赤い”から「赤い羽根募金」を連想し、“ごはん”と書いた勢いでついでに「食パン」を思い出しただけなんだ!
すごい! ●●××◆◆の頭の中が手に取るようにわかっちゃったわ!
僕、怒ってもいいのかな? 怒ったほうがふたりのためなのかな……?
でも、「モレモレロ」「4畳半」とかはどういうことなの?
贋作さんはオロカスケベね! そんなの、もはや常人の想像力ではわからないのよ。つまり、考えるだけ無駄ってことなのよ!ズバーン!
(こ、この人……ズバーンって口で言った……!)
そうか! これでテストにバカポエムが出題されても怖くないね!
ふっふっふ…本当にそうかい?
……え?
君たちはバカポエムの本当の奥深さをまだなんにもわかっちゃいないよ……?
こいつの言ってることは矛盾している…! 論破!
「ダンガンロンパ」やらないで! 僕の話を聞いて!
――次回、バカポエムのさらなる深淵が明らかに!?
(文責:福田フクスケ)
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