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デリカシーの機微が問われる現代社会のさまざまな局面に、ぼんやりと警鐘を鳴らす無神経なコラム。

アーカイブ: 2011/09

最終回「ダイオウグソクフクダムシ」

福田の蜻蛉日記~すばらしきバグズライフ~
最終回「ダイオウグソクフクダムシ」



【某月某日】

「丸まれないワラジムシが同じだけ生き延びている以上、
ダンゴムシの丸まれる能力の意味って、いったいなに?」
でおなじみ、ご存じ“虫あるある”の福田です。

虫けらのみなさん、お元気でしたか?
駆除されませんでしたか?
寿命きてませんか?

「虫になってしまった人」という
グレゴール・ザムザばりの不条理な設定で
虫と人との懸け橋となり、
取るに足らない日常を活写する
平成の日記文学を目指したこの連載ですが、

ご存じのとおり、わずか5回で更新が中断という
情けない現状で今に至っております。
虫だけに、連載も冬を越せなかったわけです(虫うまいやつ)。


あと、途中で水嶋ヒロが『KAGEROU』って小説書いて
賞を獲っちゃったおかげで、やる気をごっそり削がれた、
というのもあるよね。

だって、『KAGEROU』って言いながら全然虫の話じゃないんだもんよ。
ウスバカゲロウが短い余命をフルに活用して
悪の魔王フマキラーを倒すワンダフル冒険ストーリーじゃないんだもんよ。

そりゃあ心が折れますよ。


…みたいな話が“虫時事ネタ”として許されたのも去年までだったわけで。

ついでに言っておくと、フマキラーっていう社名は
「フライ=蝿」と「マ(モ)スキート=蚊」の
「キラー」
って意味だって知ってた?
これ、“虫トリビア”な。


ま、本当の理由を正直に書くとだね、
日常のあれこれをいちいち虫を使ってうまいこと言う、
という企画そもそもの趣旨に割と抜本的な無理があったと、
そういうことが5回続けた時点でわかっちゃったんですね。

だったらわかっちゃった時点でやめろよと、
普通の人ならそう思いますわな。

それが俺という人間の、いや虫の不可解なところよ。

普段から、「焼肉食べに行きたいなあ」と思って、
思ったまま半年くらい経っちゃうことが
ザラにあるタイプの人間、いや虫なんです。

「え、まだ焼肉食べに行ってなかったの?」とか、
「え、そもそもまだ焼肉食べたかったの?」とか、
よく驚かれますが、そういうロングスパンで生きてるんだから仕方ない。

虫だったらとっくに死んでますけどね!(虫パラドックス)

だからね、連載中断から1年経って、私もようやく決意しました。

この連載、いったん打ち切ります。

この期に及んで「いったん」とか言ってるところに
私という人間いや虫、人間、もうめんどくさいから虫人間でいいや、
虫人間の往生際の悪さというか、意外と粘着質な性格が
クヌギの樹液のように滲み出ている(虫たとえ)わけですが、

なんらかの形で連載は再開します。
ただ、それは虫日記ではないと。

そういうことに気付いて、理解して、腑に落ちるのに
かかった時間が1年だったと、そういう風に思ってほしいのです。

完全にやめちゃうわけじゃない、
言ってみればセミリタイアです(虫ダジャレ)。

……。

ね、ダジャレが出ちゃったらもうやめるしかないよ。
潮時だよ。
虫の息だよ。


「虫」ってね、考えたらひどい呼び名ですよ。
ヒルとかムカデとかダンゴムシとかミミズとか、
どう考えても「親戚」ですらない、
本来まったく「他人」である種族違いの生き物すら、
「虫」とひとくくりに呼ばれてしまうカテゴライズの杜撰さ

でも、その「ゾウリムシもカブトムシも同じ虫でしょ?」みたいな、
ガバガバな懐の大きさを人にも適用すれば、
我々はもう少しラクにのびのびと生きられたのではないだろうか。

人がもっと虫みたいになればいいのに!

それが、この短い連載で俺が伝えたかったことだ。
ということにしてほしい。

そんな虫ののびしろというかポテンシャルを感じたところで、
みなさんとはお別れです。

また虫の知らせがあったらお会いしましょう。

んじゃ。


虫日記打ち切り
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