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デリカシーの機微が問われる現代社会のさまざまな局面に、ぼんやりと警鐘を鳴らす無神経なコラム。

【2012/07/01(日)~07/07(土)】



【7月1日(日)】
実家。

というのはよく考えたら不思議な言葉であって、

親が住んでいる生まれの家が「実の家」なら、
今住んでいるのは「仮の家」なのか?
と、ついベタな言葉尻をとらえたくもなるが、

同時に「まあ、たしかに仮の家かもな」と
妙に腑に落ちてしまう私でもあって、

これが結婚して居を構えたりすれば話は別なのだろうが、
現状で自分が、一国一城の「実の家」の主とはとても思えない。

「仮の家」?

いや、むしろ「実の家」の反対は
「虚の家」かもしれない。

実家の両親が、会社勤めで安定した給料をもらい、
日々決められた家事をルーティンでこなし、
折り目正しく税金などを収めているのを見ると、
きちんと「実の暮らし」を営む大人だなあと思うが、
対して自分はどうかというと、はなはだ心もとない。

フリーの仕事が軌道に乗らず、毎月食うや食わずの貯金しかないし、
シーツを洗濯できないまま使い捨てしてしまったり、
牛乳パックを開いて捨てるのが面倒だという理由で、
いつまでも回収に出せずうず高く積み上がっているほどズボラだし、
税金もしばしば滞納するようなこの状況は、
「虚の暮らし」と呼ぶにふさわしい。

「虚の暮らし」をする「虚の家」に住む都会の虚人。
それはひょっとして「廃人」と言い換えてもよく、
その住処は「廃屋」と呼ばれるのかもしれないし、

俺はいま、実家(レギュラー)か、廃屋(ハイオク)かの
選択を迫られているのかもしれない。


…また言葉尻だけの話をしてしまった。

言葉の尻ばかり追いかけ、撫でまわしている俺のことを、
どうか「言葉のデバガメ」と呼んでいただきたい。


実家にいると、こんなことばかり考えてしまってよくない。

実家にいることの弊害は他にもあって、
それは「親の老い」と向き合わなければいけないことだ。

先日、父親が会社の車で事故を起こしたらしく、
それがけっこうハデな全損事故だったとのこと。

幸い、対人事故ではなかったので人様を巻き込むことなく、
自分もそこまで目立ったケガを負わずに済んだのだが、

昔から車好きで運転には自信のあった父が、
自分の過失で事故を起こすというのは
やはり「そーかあああああ」と思うし、
なにより父自身が一番ショックだったのだろう、
結局、事故のことはあんまり教えてくれなかった。

親はいつまでも自分より大人のような気がしていたが、
どうやらそうではない、というのはうすうす感じてはいた。

だが、問題は親の衰えのスピードに、俺の成長のスピードが
果たして追いつけているのか、ということだ。

いかんせん、この日記のタイトルは
「福田は今日も追いつかない」なのだ。


…金だなあ。

いろいろあるけど、とりあえず金さえ稼げていれば、
この不安も少しは払拭されるはずなのに。

そんなことを考えていたら、
先週終わらずに丸ごと残っていた仕事が、
ちっとも進んでいないことに気が付いて戦慄。

んもう、実家め!
という気持ちで早稲田に戻った。


【7月2日(月)】
先週提出していなければいけなかった
フリーペーパーの記事を書く。

原稿自体はソッコーで書けたのだけど、
今回は写真も自分で撮らなければならず、
しかも必要な小道具をイチから作るところから始めたので、
結局、朝から夕方まで作業に丸一日かかってしまった。

0702_1
ネタはまだ公開前でネタバレになってしまうのでヒントのみ。
透明なアクリルの板に、こういうものをシコシコ切り貼りしました。



夜は7月の恒例となった大塚ニューコーポのスカイプ会議。

企画を進めるにあたって、意見の相違があるのは当然だし、
そこで議論を戦わせるのは良いことだと思うので問題ないんだけど、

まだ具体的には表現できないけど必要だ/おもしろいと思うことを、
ぼんやりしたコンセプトの段階でみんなの賛同や理解を得るためには、
いったいどうすればいいんだろう。


自分がおもしろい/やりたいと思っていることがうまく伝わらない
という経験は、社会人であれば誰しもザラにあることだし、
私も編プロ時代に企画会議でいつも経験していたので、
それは単にプレゼンのスキルの問題だとも思う。

思うんだけど、自分の感覚では割と自明だったことが、
自分の味方だと思っている(思いたい)人にすら、
イチから説得しないと受け入れてもらえないのか…
と思ったら、なんだかすごくしんどくなってしまった。

俺が言うからみんな不信と疑念から入ってしまうのであって、
俺じゃない人がうまく言えばすんなり通るんじゃねえの、と
フツーに考えてしまうのは、俺がいま精神的に弱ってるからなのか。


【7月3日(火)】
これも先週末には提出しているはずだった
恋愛ドラマコラムをなんとか書き上げて提出。

好きなテーマだし、自由に書かせてもらえるので文句はないけど、
書くのに昨日の記事と同じ時間かかって、原稿料はン分の1。。。

ハッ、いかん、気が付いたらまた金のことを書いている。

でも、原稿は費用対効果に合わせてクオリティ上げたり下げたりできないからなあ。
いや、俺ができないだけで、みんなそれなりに考えてやってるんですかね。

仕事に優劣や貴賤をつけるわけでは決してないが、
「センスや独創力を求められるオリジナルのコラム記事」とは別に、
「あまり時間をかけるべきではない原稿」というのも確かに存在する。

そして、自分は後者の原稿に人より時間がかかっていると思うし、
そのために前者も同じような時間でバタバタと書かなければいけない
羽目に陥っており、これだけはどうにかならんもんかと悩んでいる。

もともと早くたくさん書けるタイプではないので、
本来は自分の持ち味を評価してもらえる場所で、
単価の高い仕事を、数を絞ってやらないと、
フリーでは食っていけない人なんじゃないか、俺は。


そして、最近はお金にならないことに割かれる時間が多くて、
あんまり新規の営業ができていないので、
「うわああああああああ」ってなるのだ。

そんな、「お金にならないこと」の筆頭若頭である
スマホ向け放送局「ワロップ」が(すごく悪気のある話のつなげ方)、
このたび7月から火曜20:30に放送枠を異動することになり、
今日はその1回目。

……だったのだけど、

曜日も時間も早まったことに
週のルーティンがまったく対応できず、
前述した恋愛ドラマコラムが書けなかったこともあって
スタジオ入りを大遅刻!

20:30オンエアの番組に20:25にスタジオ入りするという、
「どこの売れっ子だよ!」みたいなことに。

ホントすいません!

福田に20:30は早すぎました!

誰かさあ、レギュラー持ち回りでやろうよ!(割とマジで)

俺のことは、今後心おきなく「ゲボクズ」と呼んでください!
それと引き換えにラクになるなら本望です!

さあ!

さあさあ!!!


【7月4日(水)】
ぎたろー君から、今日1日限定で行われているという
ケンタッキー食べ放題に行かないか、というメールをもらう。

「フリーライターだからってヒマだと思うなよ!」
と憤りつつ、悔しいが実際に仕事はなく時間は空いていたので、
ノコノコついていくことにしたゲボクズだったのだが、

あ、今日から一人称「ゲボクズ」にするから、よろしくな、

で、ゲボクズが一足先に待ち合わせ場所のケンタッキーに着くと、
そこにはすでに長蛇の列ができてるわけよ。

0704_1

中には、明らかにぎたろーよりも恰幅のいいバタービーンみたいな客もおり、
磁石に吸い寄せられる砂鉄のように、デブが店に引き寄せられていく。


そして、自転車でさっそうと登場したぎたろーは

0704_2

カーネル・サンダースのコスプレをしていた(しかも勝手に夏服アレンジ)。

聞けば、「礼儀として正装をしてきた」そうで、
これがケンタッキー食べ放題の正装かどうかはさておき、
その気合いの入れ方には脱帽するしかない。

しかし、気合いが入っていた割には、夜勤明けで早起きできずに
14時集合というぬるい選択をしてしまったぎたろーとゲボクズ。

そんな我われの前に、非情にも
「食べ放題は受付を終了しました」の看板が……。

0704_3

その後、付近の店舗を3軒ほど回ってみたものの、
どこも大盛況で受付終了。。。

0704_4

仕方なく、東中野の異常に安いインド料理屋でカレーを食うことに。

ぎたろー君は、どうすれば45分の制限時間で効率よく
チキンを食えるか、彼なりに計画を練っていたらしく、
「同じ味のチキンを食べ続けていたら飽きてペースが落ちる」という予想のもと、
なんと「ご飯を持ちこんで、チキンをおかずにして気分転換をはかる」という
常人には想像もつかないソリューションを用意していた。

0704_5

結局、ぎたろー君とポーズ集の展開を話し合いながら
ただカレーを食うという、ゲボクズにとっては意味のよくわからない1日に。

こんな悪い夢のようなシュールな日記もいいじゃないか、と開き直るゲボクズなのであった。

そして、食べ物の話をしているときに使う言葉ではないということに気付いたので、
ゲボクズという一人称は今日でやめるから、よろしくな!


そして、こちらも更新されました。

「AM」恋愛ドラマ勝手に深読み入門
第4回:『東京ラブストーリー』~恋もドラマも魔法が使えた時代~

白状するとこれ、昨日書いた取って出しだ。
本当は週末に提出しておくのが望ましいやつだ。

今回は、恋愛ドラマの王道『東京ラブストーリー』について書きながら、
最後はいきなり『それでも、生きてゆく』を褒め称えて終わるという掟破りの展開に(笑)。

ネットの文章なんだからもっとライブ感出して書こう、と思ったら、
思わぬ方向にドライブ感が出ちゃったな。

こういうことすると、芸風が粗いって思われるのかしら。
どうなのかしら。


【7月5日(木)】
以前、ワロップの番組にもゲストで出ていただいた
メンヘルイラストレーター(肩書きこれでいいのか悩む・笑)のTOKINさん(ウェブサイト)から、
クリエイターEXPOに行きませんか、というメールをもらう。

「フリーライターだからって誘えば来ると思うなよ!」
と怒髪天を突きつつ、悲しいことにやっぱり予定が空いていたので、
ノコノコ、ノコノコ、と口で言いながら同行させていただくことに。

クリエイターEXPOというのは、ブックフェアや電子書籍EXPOなど
ものすごい数のイベントが同時開催されている中のひとつで、
イラストレーター、漫画家、カメラマン、ライターなど個人のクリエイターが
ブースを出展し、来場するクライアントと直接商談ができるというもの。

私は、言い方は悪いがいい意味で「ネタになる」人を探したいという
下心の一心でブースを回ったんだけど、なかなかいませんなあ、
TOKINさんレベルの“何か”を持ってる人は!(笑)

…と思っていたら、ビジネスライクなブースの中、
まがまがしいアングラ臭のオーラを漂わせる
斎藤栗子さんというライター/イラストレーター/ダンサーがおり、
気になって声をかけてみたところ、なんと彼女、
私の大学時代に同じ専修の同じコースにいた同級生だったのだ。

当時はとくになんの変哲もないまっとうな人、という印象だったのに、
気が付けば黒沢美香のダンサーズの一員として踊っていたり、
バニーガールにウサギの被り物をして秘宝館を取材したり、
なんかわからんがショーで緊縛されたりもしたらしい。

おまけに、ウェブサイトのタイトルが「生娘の臨月」って…。

いい感じにこじらせてるなあ。
そして、そのこじらせを敏感に察知して嗅ぎ付けたら
同級生だった、という因果もなんかこじらせてる。

しかし29歳にしてこのこじらせ方は、少しくONC的だぞ、とも感じ、
なんか一緒にやろうぜ、とも思っている私なのである。


【7月6日(金)】
かつて住んでいた大塚で、とある方と飲む。

今はまだ詳しく書けないけど、ぎたろーのポーズ集がひと段落した暁には、
これが大塚ニューコーポの次なるメインの活動になっていくだろう、
という重要な案件に関わる打ち合わせ。

大きなプロジェクトに育てていきたいですなあ。


しかしですね、わたくし最近悩んでるんですよ。

いま、大塚ニューコーポはメンバーが全員アラサーであり、
会社でもそこそこ重要な職務に就いて社会的責任を負っている人が多い。

だから、学生ノリでむやみやたらに活動はできないし、
だからこそ、最小限の労力で最大限の評価につながるように、
「ぎたろー企画」のような活動に的を絞ってねらいうちしていきましょう、
というのが最近の活動の方針でもある。

でも、世間的にはまだ何の評価もされていなくて、
名前も売れていない我われのような存在が、
時間も労力も惜しんで手柄を立てようなんて甘いんじゃないか、
と心のどこかで思ってしまうのな。


なんというか、とっさのチャンスに対応できないとか、
すばやくこまめに動きたいところで動ける人がいない、
ということにジレンマやもどかしさを感じることがある。

でも、それぞれが仕事で忙しいのはむしろいいことだし、そういった中で
活動するには作業効率や費用対効果を考えるのは当然のことだ。

だからこれは誰が悪いということではなく、
こういうふざけた活動で世に出るためには、
私たちは歳を取りすぎてしまったのではないか、
と思って行き詰まった気持ちになるのだ。


あと、単純に動ける人が少なすぎるっていう人手の問題もあるんだろうな。

いまのメンバーにこれ以上、採算や労力を度外視した
負担をかけることはできないし、するべきでもないと思うので、

もっと社会的責任がなくて、世に出たい、目立ちたいという
モチベーションだけで軽はずみに動けるような、
そういう若い人たちと知り合いたいな、とも正直思うのよ。

やる気とセンスとヒマはあるけど、機会がないという若い子を集めて、
現行のメンバーはもう少しディレクター的な立場になってもいいのかな、とか。
ディレクターのテイストや持ち味を生かしつつ、
これまでフットワークの重くなっていた部分を
若い子に埋めてもらうってやり方もできると思うんだよね。


ああ、あと5歳!

せめて俺があと5歳若かったら、
もう少しムダな時間を使ってムダなことに
チャレンジできたかもしれないのに…。

それとも、俺に今お金がないからそんな風に思うのだろうか。
お金に余裕があったら、もっと「俺がやってやんぜ!」って思えるんですかね。


大塚の会合の帰り、まだ時間も早かったので、
かつて大塚に住んでいた頃によく通っていた
「世界飯店」(食べログ)という中華・アジア料理の店へ。

3~4年ぶりだというのに、店のおばちゃんが
俺のことを覚えてくれていてびっくり!
「半年見た人の顔は忘れないよ!」だって。
こういうの、地味に嬉しいなあ。

ただ、新メニューのラーメンの味が家系みたいだったのは残念。
俺は、あの店はもっとベトナムの屋台風ラーメンみたいな
アジアンテイストに振り切っちゃっていいと思うの。


そういえば、金曜ロードSHOWが『千と千尋の神隠し』だった。
ジブリで一番好きな作品かもしれない。
ストーリーテリングのセオリーを完全無視、
物語としては完全に破綻しているのに、
圧倒的な世界観でそれをねじ伏せて「あり」にしてしまった
ジブリの才気と狂気が一番よく表れている作品だと思うのです-。


【7月7日(土)】
家のすぐ近所に保育園があり、
そこの七夕飾りの短冊がおもしろいので
夜が深まってからこっそり写真に撮ってきた。

0707_1
「プリキュアになれますように」

こういうほほえましいのに混ざって、あるんです、問題作が。

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「れいちゃんのおしりがよくなりますように」

親御さんか保母さんの字だと思われるが、
こんなところで子どもの痔持ちをカミングアウトか。
一生心の傷になりかねないよ!

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「ぜたいおへやがきれいになりますように」

あえて厳しいことを言いますが、お前次第です。
大人になると、タスクを勝手にやっておいてくれる
小人さんはいないんだということを、嫌でも痛感しますよ。

0707_4
「けんかばかりしなくなりますように
だれでもいいからおとまりにきてほしいです」


お友達にケンカばかり吹っかけるので、
誰も泊まりにきてくれなくなったのでしょうか。
自業自得にも思えますが、「だれでもいいから」という
謙虚さ切実さに泣きそうになりました。

0707_5
「かちどきばしをつくりたい」

ダイナミックな夢ですが、橋のチョイスが渋すぎます。

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「まおちゃんとなかよくなれますように」

園児の淡い恋心。こちらの心もほっこりしますね。

0707_7
「まおちゃんとけっこんできますように」

同じ子の書いた短冊。
仲良くなるだけでは物足りず、要求がエスカレートしています。
恋ってそういうものですよね。

0707_8
「まおちゃんとハムスターになれますように」

まおちゃんのことが好きすぎて、願望をこじらせてます。
この子が将来、獣姦趣味に目覚めないことを祈るばかりです。


話は変わって、私はいまだにガラケーユーザーで、
ガラケーを取り出すたびに「まだガラケーなの?」みたいな
空気がその場に漂うのが不憫でならないので(自分が)、
いいかげんそろそろスマホに換えようと思っているんだけど、

このご時世に人前でガラケーを使う肩身の狭さ、というのが
何かに似てるなあと思ったら、アレだわ。

小学生の頃にイケてるグループが続々とトランクスデビューしていく中、
まだブリーフだったときの体育の着替えの時間。

あの気まずさに似てるんだわ、とふと思った。

たぶん小学校の中学年くらいからトランクスというものが登場して、
高学年でトランクス閥とブリーフ閥の55年体制ができあがり、
中学で一気にトランクスの一党独裁になっていた、ような気がする。

すげーどうでもいいですけどね!


今年の4月に向田邦子賞を受賞した岩井秀人脚本の
NHKドラマ『生むと生まれるそれからのこと』

6月18日の深夜に再放送していたのをようやく見たんだけど、いいなあ、これ。
誰かれかまわず気兼ねなくおすすめできる、そんな秀逸なドラマ。
江本祐のあの感じは、どうやったら出せるんだろう。
父親譲りの才能としか思えない。

もう再放送しないのかなあ。
ネットとかに落ちてたらぜひ見てみてほしいです。


おまけにもうひとつ。

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「みんなしわせという言葉み熱くなり(通りがかりのじじい)」

通りがかりのじじい・作。
字も間違ってるし俳句にもなってないし、ほとんどダイイングメッセージ。

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