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アーカイブ: 2009/05

(シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第六話

サラサラヘアの王子は、空腹を我慢できずにつまんだキノコでキメキメのテンションで、白馬に乗ってやってきた。

ラリラリ王子は、白馬からこの世のものとは思えぬほどデタラメなやり方で下に降り、小屋に入って来た。

王子「たのもー」

赤ドワーフ「なにやつ!」

王子「王子。知らない?森抜けたとこにあるお城の」

赤ドワーフ「え?ほんとに?だってなんか・・・」

王子「眼がとろんとしてるからって高貴な身分にあらずって、とんだ偏見じゃないかい」

青ドワーフ「我々としたことが!偏見や差別には小人一倍敏感であるべき我々としたことがっ!」

王子「まあまあ。僕だって君らとは違う種類の偏見にさらされてるからさ、分かるよそういうの」

緑ドワーフ「そいつはどうだか。そんなサラサラヘアたなびかせてさ、さぞかし陰毛もキューティクルなんでしょうよ」

青ドワーフ「おい!初対面の王子に言っていいことのレベルをはるかに凌駕してるぞお前!」

茶ドワーフ「そんなにキューティクルなんですか?」

青ドワーフ「お前もきくな!」

王子「そこはご想像に・・・」

青ドワーフ「答えるな王子も!」

赤ドワーフ「まあ落ちつけよ。王子がこんなとこに来たのには何か理由があるんじゃないですか?とか聞けよせっかくなんだから」

一同「・・・」

赤ドワーフ「黙るなよ!なんだよ、ベタは嫌いか?転じて、俺のこと全部嫌いか!」

王子「僕がここに来た理由はね」

赤ドワーフ「あー言っちゃうんだー聞かれてもないのに言っちゃうパターンなんだぁ」

王子「そこの、ほらえっと、ねぇ分かるだろ?君たちが密かにそこでそうやってさ・・・」

茶ドワーフ「なななななななんのことですか?ななななななぁ?」

緑ドワーフ「そそそそそそうだな。ううううううううん」

王子「素直なミニヒューマンたちだな。別にただでよこせって言ってるわけじゃないんだよ。ほらこれ」

王子が差し出したもの、それは職人技の光るあまりにも精巧に作られたドワーフ全員分の身の丈サイズのラブドールだった。

ドワーフ一同「・・・・」

王子「言葉を失うのも良く分かる。でもさ、よく考えてもみなよ、いま彼女はさ、現にああなっちゃってるわけじゃない…さすがにいたたまれないし、そもそも君たち彼女に…」

黄ドワーフ「王子さん!」

王子「はい?」

黄ドワーフ「これで、手を打ちましょう」

赤ドワーフ「お、おい、お前初登場でそんな」

黄ドワーフ「考えるまでもないだろ。白雪姫は確かにいいよ。ぐっと来る。でもさ、俺らだって馬鹿じゃない。彼女が自分たちにとって不釣り合いな存在だってことくらいは分かってる」

赤ドワーフ「おまえ・・・」

黄ドワーフ「王子さん、でも今回の取引には一つだけ条件がある。僕たちは彼女がここ数日、微動だにしないのをいいことに色々ないたずらをしてきました。いたずら、ってかわいげのある表現だけど、僕らの風体に不似合いなほどえげつないことも実際いくつかやっています。それを、そのなんていうか」

王子「不問だよ」

黄ドワーフ「王子さん」

王子「だってそうだろ?君たちだって男だ。男は、えげつない」

黄ドワーフ「みんな、聞いたか?」

ドワーフ一同「(言葉にならない声)」

王子「じゃあ行くよ。先を急ぐんで」

ドワーフ一同「(言葉にならないがなんとなくそう聞こえるような感じで)おしあわせに」

王子は、ぐったりとうなだれた白雪姫を小脇に抱えてカポカポと去っていった。

七人はそれぞれの性癖にあったやり方でラブドールを愛し、思いつく限りのいたずらにいたずらを重ね、森の奥でそこそこに差別をされながらも何となく幸せに暮らすのであった。

一方、王子は城に帰り、白雪姫を連れ帰った本当の目的を果たすべく、サラサラヘアの奥に潜む濁った瞳で、ベッドに横たわる白雪姫を見つめていた。

ちなみに、五人が施したえげつないいたずらのせいで、彼女の覚醒が大幅に遅れていることには、誰も気づくことはなかった。

何が行われたかは・・・私には書けない。

そしてふわっとも、七人は活躍しなかった、ね。


続く
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(シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第五話

ドレスを身にまとったシンデレラは、自分の美しさにとりあえず勝ち誇っていた。

この無敵感は、言葉に出来ない。

なので家の誰か所有のアニマル柄のつっかけつっかけて、外に出た。

魔女が何かを言っていたが、無視。

運良く、屋敷の前に止まっていたかぼちゃとかで出来てるメルヘンな馬車に何の疑いもなく飛び乗って、舞踏会会場に直行。

「・・・・・・・・」

思わず初めてのスケール感に言葉を失った。

そりゃそうである。

一介の女中であったシンデレラにとって、これまでに見た一番大きいものと言えば継母の乳輪・・・もとい、屋根裏に隠されている三女のスーチーが皆に内緒で買った西洋風性欲処理人形、通称ダッチボーイズの黒・・・もとい、丸々太ったかわいいドブネズミくらいなものだったので、誰が見てもまごうことなくキャッスルキャッスルしたキャッスルのあまりにも豪快なでかさに、何の意外性もなく驚いてしまったのだ。

そして入城。

で、なんとなく小粋に踊ってたら王子、登場。

王子の第一印象?

なんかチャラい感じ。

正直、そう思った

王子「君、いいステップ踏んでんじゃん。その靴どこで買ったわけ?マジアニマルってんだけど」

シンデレラ「わかる?アニマルヤバいよね」

王子「ヤバいよ。君のは特にヤバい」

シンデレラ「君、って呼ばないでくれる?マジウザいんだけどあーし、シンデレラつうの、よろしく」

王子「シンデレラ、いけてんなぁおい。おれ、王子。それ以上でもそれ以下でもないから、よろしくぅ」

シンデレラ「ちぃーす」

王子「よかったらさぁおれの、姫になんねぇ?」

シンデレラ「うわ、やっべ、これ帰んね―と、バレっしょ。バレたらヤバいっしょ」

王子「なあシンデレラ、おれ今何気にプロポーズしたんだけど」

シンデレラ「つうか、あーし帰んね。王子だっけ?おめぇ、もうちょい髪とか、パンキッシュにした方が、いいんじゃね?王子でサラサラ横分けって、今どきあり得ないっしょ」

王子「そ、そうかよ」

シンデレラ「じゃあ急いでっから、じゃあ」

シンデレラは、とりあえずダッシュで帰った。

つっかけ脱げても、関係なかった。

なんかよくわかんないけど、悪くない気分だった。

それがあの灰まみれの家から外に出たからか、ドレスを着たからか、舞踏会に行けたからか、この頃のあーしにはわかんなかったけど、この夏の全部の出来事が全てこっから始まってたってことだけは確かなんだ。

と、最後に突如として付け焼刃的になかばやっつけで、ケータイ小説ぽさをふんわり醸しながら、来週へと続くのであります。

続く
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(シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第四話

目の前で母親が魔女コスに身を包んで佇んでいる現状。

わたくししばし呆然といたしまして、ただそれでも漫然と会話をはじめてみたのです。

「は、母上?ど、どう、なさったんです?」

「・・・いらん?」

「母上?」

「・・・いらん、かえ?」

「・・・なにをですか?」

「これ、その・・リンゴ」

「おリンゴですか?」

「お腹が減ったろう?」

「・・え、まあ、ええ」

「好きだものねぇリンゴがお前は」

「でもどうしたんですか突然?こんな森の奥に。虫とかいっぱいでお母様お嫌いじゃないですかああいった手足のやたらに多い生き物が」

「・・・背に腹はかえられない」

「絵にはらわたは描けない?」

「・・・背に、腹は、かえられない」

「てっしー、まだらに、枝臭い?」

「・・・もういい。とにかく、このリンゴをね、お前にやるから」

「あ、ありがとうございます」

「いいかい?くれぐれもよく噛んで、食べるんだよ」

「はあ」

「じゃあ、ね」

母上はよく見ればマントの裾をズルズル引きずって、すごすごと帰っていきました。

で、残された赤いリンゴの赤の禍々しさったらありません

悩みました。

いくら母上の言いつけだからって、ここまで見るからに怪しいおリンゴを進んで口にするのは気が引ける。

そこで・・・

白雪姫「ちょっと、ドワーフの皆さん、こちらにずらっと並んでくださる」

ドワーフ一同「なんですか」

白雪姫「これ見て、ほら綺麗なおリンゴでしょ」

赤ドワーフ「ほんとだー」

白雪姫「率直に聞くけれど、この中でわたくしのことを一番愛して下さってるのは、どなた?」

ドワーフ一同「・・・」

白雪姫「あら、どなたも愛しては下さってない?」

青ドワーフ「お言葉ですが姫様、我々の中で姫様を愛していない者などおりません」

白雪姫「あら素敵、じゃあはいこれ」

黄ドワーフ「なんですかこのけばけばしいのは」

白雪姫「おリンゴよ、剥いたから食べて」

緑ドワーフ「・・これは、ちょっと・・・なぁ?」

白雪姫「やっぱり、わたくしへの愛などその程度なのね」

茶ドワーフ「おれ、食べます」

白雪姫「ナイスよウンコ色!」

他のドワーフ「・・お、おれもー食べるー」

むしゃむしゃ食っておりました。

大層おいしそうに、むしゃりむしゃりとそれをかじる奴らを見て、わたくしも「一口くらい食べてみたいそこまでうまいのなら」と思うようになり、結局ドワーフたちをほぼ蹴散らすような形でその中に割って入り、おリンゴを一かけ齧ったのでした。

ぶぅぅーふぅーふぅーぅん

じょべりべじゅばじゅび!

とかまあそんな音を立てながら、白雪姫は泡吹きぃの目玉ひんむきぃの倒れました。

所詮ドワーフは怪物、白雪姫は人間だったのです。

もうとてもじゃないけど自分が救えるような状態にはない白雪姫を見ながら、ドワーフたちは思いました。

レイプOR埋葬

悩みました。

千載一隅のチャンスだとだれもが分かっていたからです。

ひたすら悩みました。

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・

悩んでるうちに紙幅が尽きてしまいました。

とりあえず、次回、ドワーフたちがふわっと活躍するぞ、という予告だけしておきましょう。


続く
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(シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第三話

クソババアは何の躊躇もなく屋敷に上がり込んで、シンデレラの淹れた紅茶をすすっていた。

「あの、ご用件はなんですか」

クソババアはお茶請けに出したマフィンをかじりながらギロッとシンデレラを睨みつけながら言った。

「おおおおおおお前を食べるためだよ!・・・・あ、間違った」

「え?」

「いいいいいいいいや、その、えーと、お前、シンデレラだね」

「はあまあ」

「おおおおおおおお前の生き血を吸ってやろうか!・・・あ、間違えまくった」

たぶんだけど。

予想の話だけど。

このクソババアはこういう格好をするのはほとんど初めてで、キャラ設定が曖昧なのだ。

ここで当然の疑問がわく。

なんでその曖昧なキャラ設定でこの屋敷に乗り込まにゃあならんかったのか、と。

聞いてみた。

「で、なんですか?私も私なりにそこそこ忙しいんですけど」

「ヒッヒッヒッ」

「ズカズカ上がり込んで、失礼じゃないですか」

「ヒッヒッヒッヒッ」

「あなた大人でしょ、大人の女でしょ!」

「ヒッヒッヒッヒッヒッヒッ」

バン!

ズゴバン!!

ズリヒャボドッチンカン!!!

概ね3発、シンデレラはクソババアを、手元にあった次女のアラファトのコルセットで、殴打した。

クソババアは怯んでいた。

怯みながらも、言った。

「まままま」

「はい?」

「まままままままま」

「なんですか?」

「まままままままままままままままままままままままま」

「ぶちますよ」

「まっ・・・魔女あんぢゃお」

恐怖とは、時に老婆の長年培ってきた言語感覚すら狂わす。

シンデレラは念のため聞き返した。

「魔女なんですか?」

「・・・・はい」

「・・・・で?」

「・・・・・へ?」

「だから・・・・で?」

「ど?」

「ど?じゃないですよ。魔女なんですよね?」

「はい」

「で?」

「・・・・ぼ?」

ジョン!

ジョグリン!

ジョッゲレンダリュホン!!

今度は長女のマンデラの胸パット×2を巧みに操ってアタック。

クソババアはすっかり憔悴。

でもこれで魔女なのだ。

「何しに来たんですか?って聞いてるんですけどさっきからずっと」

「・・・・」

「怖がらないで。私は単なる女中よ」

「・・・・」

「さっきまでの暴力については謝るわ。ごめん。私もちょっとどうかしてた」

「もももももももももう、ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶたない?」

「もちろんよ。私、年上には普通に敬意を払うタイプだから」

「シンデレラは、ぶぶぶぶぶぶぶぶと」

「ぶと?」

「ぶぶぶぶぶとうかいには、いかないの?」

「ぶとうかい?・・ああ舞踏会ね。何言ってんの、私が行けるわけないじゃない」

「いいいいいいいきたくないの?」

「行きたくないかって?行きたいか行きたくないかが問題なんじゃないの。行けるわけないって言ってるの」

「どどどどどどうして?」

「女中なのよ私。汚い汚いドブ女中、ドブから生まれたヘドロ女、ヘドロの国からやってきたスーパー汚物ギャルその名もシンデレラ、なのよ。舞踏会なんて・・・ドレスもないし」

「どどどどどドレス?じゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃあ、ドレスがあれば、行きたい?」

「そりゃ・・・まあ人生経験の一環として?行きたくないこともないけど・・・まあいつかはね。・・・・あああ!!!もしかしてあなた!?」

「いいいいいいや、あの、私そういうタイプの魔女じゃないんで、そのドレス出したりって言うのは出来ないんですけど」

「なんだよ。期待させんなよバカクソゴミ」

「でででででも、洋裁得意なんで、作りますよドレス」

「ほんとに?」

「はははははい、お茶いただいたんで」

「あんなに殴ったのに?」

「ままままままあ、私が悪い部分もありましたし」

「あーーーでも、あれだ、生地無いわ。勝手に使ったらほら、絶対バレるよアホマヌケ汚泥」

「そそそそそれは、魔法でどうにでもなりますよ、生地だったら」

「生地は出せるんだ」

「ももももももちろん」

「・・・・ううん、まあよくわかんないけど、よろしく」

「ここここちらこそ」

というわけで、シンデレラは吃音丸出しの、能力もなんかまばらな印象の魔女と一緒にドレス作りに着手した。

で、完成。

性格と暴力衝動を取り除いてしまえばただの美女だったシンデレラは、ドレスを着ればそりゃまあいい感じだった。

ドレスを着てクルクルと回って見せる、ほのぼの気分全開のシンデレラとそれを見て顔面しわくちゃにして喜ぶ魔女なのであった。




・・・・・・・・・早く行けよ、舞踏会に!



(続く)
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