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「桃太郎+官能小説」 第一話
- 2009.01.25 Sunday
- 新しいむかしばなし > 桃太郎+官能小説(新しいむかしばなし第1シリーズ)
でんじろう(85)は、妻のおふじ(70)が、密かに他の男と密会しているのではないかという疑念を取り去る事が出来ないでいた。
おふじは気立てが良く、自分にはもったいなすぎる女だとでんじろうは常々思っていたのだが、ひとたび疑念を抱いてしまうと、おふじの一挙手一投足が全て怪しく感じられ、万国の老人よろしく早起きをしてしまうのであった。
早起きと言っても、でんじろうの起きたころには、おふじは既に朝食の支度をしているのが常で、でんじろうはかまどで火を焚き汗を流しているおふじの背中にビタッ!とはりついた襦袢を見ては、下腹部のウィニーが噛み応えのあるシャウエッセンを経て遂にはチョリソー先生の異名をとるまでに至る成長物語を見届けつつ、二度寝するのが日課となっていた。
が。
ある朝のことである。
でんじろうはいつもの通り二度寝をし、朝食を食んで、柴刈りの仕事に向かうつもりだった。
だが、出かける直前に、「私は川へ洗濯に行きます」と言ったおふじの表情を仕事への道すがら思い出し、でんじろうは「はて?」と思った。
「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」
傍から見ればそうとしか言いようのない状況がそこにはあるわけだが、洗濯を川にしに行くのは今に始まったことではない。
いつだって洗濯は川で行なってきたはずなのである。
なのに。
今朝のおふじは「行ってくる」とだけ言ったでんじろうに、わざわざ「川へ洗濯に行きます」と告げたのである。
これは怪しいではないか。
でんじろうよりも15年も後に生まれたおふじの肌の色つやが、でんじろうと同世代の女たちと全く異なっていることは言うまでもないが、でんじろうはぷっくらとした唇こそが彼女の魅力であると確信していて、どこぞの若造の、いつも目の前にあるチョリソー先生ではなく大味なジャンボフランクをほおばっている様を想像せずにはいられなかった。
そこまで考えが至ると、でんじろうは己の足が自然と川に向くのを止めることができなかった。
しかし、自分の知らない男とおふじがどんなまぐわいをしてきたのかしているのかしていくのか、という過去現在未来すべてをまたにかける壮大なエロ大河を夢想しながらだったので、傍から見れば「老人ののらりくらり」に他ならなかった。
ちなみにエロ大河、こんな内容である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
おふじは、夫のでんじろうがいつもの様に山に柴刈りに行き、その背中を見送った後、そそくさと出かける準備をし、やや早足で川に向かった。
川近くのひときわ汚い平屋がおふじの密通相手でんきち(仮名・60)の住まいである。
でんきちはだれの目にも明らかなほどの荒くれ者だった。
褐色の肌に切れ長の目、横に広がった大きな鼻と拳が丸々入りそうな大きな口、太い首に厚い胸板、太い指先にはいびつに割れた爪がおまけのように付いており、爪と皮膚の間には泥とも血ともいえぬ黒ずんだ何かがこびりついていた。
そういう汚い男に、なぜだかおふじは惹かれた。
洗濯をしに来てるのに汚い男と関係し体を汚す、という禁忌も去ることながら、夫であるでんじろうに無い獰猛さ加減がおふじには塩梅が良かった。
でんきちはおふじが平屋に入ってくるや否や、飛びかかるように迫ってきて、着物を剥いだ。
脱がせた、というよりも、剥いだ、という表現がしっくりとくる、そういう乱暴さである。
すっかり全身を剥がれたおふじは、自分の全身が炭火で焼かれる肉塊のように徐々に火照り、でんきちの厚切りタンがねっとりと、肩ロースからサーロイン、ヒレを経て遂にはテールに至るのを感じ、負けじと搾りたてのレモン汁を塩ダレと一緒に滴らせつつ、黒々としたサンチュに赤ミソをまぶしてでんきちの口に押し込んだ。
意外にあっさりだな
栄養満点よ
などといった爽やかな会話が交わされた後、でんきちが自慢のリブロースを取り出すと事態は急転した。
おふじは骨付きスペアリブさながらの頑強さを誇るそれに、特製ダレには目もくれず豪快にむしゃぶりついたかと思うと、程なくして自慢の唇はデラデラ、でんきちはすっかり骨抜き、どころかユッケになっていた。
口元をお手拭きでぬぐいながら、おふじは網の交換を申し出た。
束の間の、焼肉パーティは終わった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
というようなものである。
でんじろうはそれでもなかなかのスピードで山を駆け下り、家を通り過ぎ、もうすぐで川にたどりつく。
だが、そのとき既におふじは帰宅し、包丁を片手に巨大なそれと対峙していることを、でんじろうが知る由はなかった。
続く
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