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アーカイブ: 2009/05/06

(シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第三話

クソババアは何の躊躇もなく屋敷に上がり込んで、シンデレラの淹れた紅茶をすすっていた。

「あの、ご用件はなんですか」

クソババアはお茶請けに出したマフィンをかじりながらギロッとシンデレラを睨みつけながら言った。

「おおおおおおお前を食べるためだよ!・・・・あ、間違った」

「え?」

「いいいいいいいいや、その、えーと、お前、シンデレラだね」

「はあまあ」

「おおおおおおおお前の生き血を吸ってやろうか!・・・あ、間違えまくった」

たぶんだけど。

予想の話だけど。

このクソババアはこういう格好をするのはほとんど初めてで、キャラ設定が曖昧なのだ。

ここで当然の疑問がわく。

なんでその曖昧なキャラ設定でこの屋敷に乗り込まにゃあならんかったのか、と。

聞いてみた。

「で、なんですか?私も私なりにそこそこ忙しいんですけど」

「ヒッヒッヒッ」

「ズカズカ上がり込んで、失礼じゃないですか」

「ヒッヒッヒッヒッ」

「あなた大人でしょ、大人の女でしょ!」

「ヒッヒッヒッヒッヒッヒッ」

バン!

ズゴバン!!

ズリヒャボドッチンカン!!!

概ね3発、シンデレラはクソババアを、手元にあった次女のアラファトのコルセットで、殴打した。

クソババアは怯んでいた。

怯みながらも、言った。

「まままま」

「はい?」

「まままままままま」

「なんですか?」

「まままままままままままままままままままままままま」

「ぶちますよ」

「まっ・・・魔女あんぢゃお」

恐怖とは、時に老婆の長年培ってきた言語感覚すら狂わす。

シンデレラは念のため聞き返した。

「魔女なんですか?」

「・・・・はい」

「・・・・で?」

「・・・・・へ?」

「だから・・・・で?」

「ど?」

「ど?じゃないですよ。魔女なんですよね?」

「はい」

「で?」

「・・・・ぼ?」

ジョン!

ジョグリン!

ジョッゲレンダリュホン!!

今度は長女のマンデラの胸パット×2を巧みに操ってアタック。

クソババアはすっかり憔悴。

でもこれで魔女なのだ。

「何しに来たんですか?って聞いてるんですけどさっきからずっと」

「・・・・」

「怖がらないで。私は単なる女中よ」

「・・・・」

「さっきまでの暴力については謝るわ。ごめん。私もちょっとどうかしてた」

「もももももももももう、ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶたない?」

「もちろんよ。私、年上には普通に敬意を払うタイプだから」

「シンデレラは、ぶぶぶぶぶぶぶぶと」

「ぶと?」

「ぶぶぶぶぶとうかいには、いかないの?」

「ぶとうかい?・・ああ舞踏会ね。何言ってんの、私が行けるわけないじゃない」

「いいいいいいいきたくないの?」

「行きたくないかって?行きたいか行きたくないかが問題なんじゃないの。行けるわけないって言ってるの」

「どどどどどどうして?」

「女中なのよ私。汚い汚いドブ女中、ドブから生まれたヘドロ女、ヘドロの国からやってきたスーパー汚物ギャルその名もシンデレラ、なのよ。舞踏会なんて・・・ドレスもないし」

「どどどどどドレス?じゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃあ、ドレスがあれば、行きたい?」

「そりゃ・・・まあ人生経験の一環として?行きたくないこともないけど・・・まあいつかはね。・・・・あああ!!!もしかしてあなた!?」

「いいいいいいや、あの、私そういうタイプの魔女じゃないんで、そのドレス出したりって言うのは出来ないんですけど」

「なんだよ。期待させんなよバカクソゴミ」

「でででででも、洋裁得意なんで、作りますよドレス」

「ほんとに?」

「はははははい、お茶いただいたんで」

「あんなに殴ったのに?」

「ままままままあ、私が悪い部分もありましたし」

「あーーーでも、あれだ、生地無いわ。勝手に使ったらほら、絶対バレるよアホマヌケ汚泥」

「そそそそそれは、魔法でどうにでもなりますよ、生地だったら」

「生地は出せるんだ」

「ももももももちろん」

「・・・・ううん、まあよくわかんないけど、よろしく」

「ここここちらこそ」

というわけで、シンデレラは吃音丸出しの、能力もなんかまばらな印象の魔女と一緒にドレス作りに着手した。

で、完成。

性格と暴力衝動を取り除いてしまえばただの美女だったシンデレラは、ドレスを着ればそりゃまあいい感じだった。

ドレスを着てクルクルと回って見せる、ほのぼの気分全開のシンデレラとそれを見て顔面しわくちゃにして喜ぶ魔女なのであった。




・・・・・・・・・早く行けよ、舞踏会に!



(続く)
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