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肉布団京一の作文教室

宇宙 人(うちゅう じん)のSF絵日記 vol.7

※当欄に掲載されているイラストは全て「一発本番・無修正」で描かれております。ペンを握ったが最後、決して消しゴムの類は使わず「勢い」とか「いてまえ精神」を思い切り尊重しちゃおうという企画の性格上、一部イラストに、一般的な大人のジャッジを踏まえると「どう考えてもアウト」な代物が混入することがございますが、そうした企図をくみ取った上でご了承いただければ幸いです。


※肉布団注…本日は宇宙 人さんが未だに帰省中です。

目下のところバカンスに興じておられるようです。

人曰く、「普段の頭脳労働で左脳使うのにも飽きたから右脳、つまり左手で書いたったわ」とのことで以下の作品だけが送られてきましたので、いつもよりも若干手元の狂いが著しいお仲間をご紹介させていただいて、お開きとさせていただきます。


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コードネームはどぶねずみ。特技は「富井副部長のモノマネ」

目がピエロじみてるのは何かの暗示でしょうか。

あばよ

宇宙 人(代筆・肉布団京一)

宇宙 人(うちゅう じん)のSF絵日記 vol.6

※当欄に掲載されているイラストは全て「一発本番・無修正」で描かれております。ペンを握ったが最後、決して消しゴムの類は使わず「勢い」とか「いてまえ精神」を思い切り尊重しちゃおうという企画の性格上、一部イラストに、一般的な大人のジャッジを踏まえると「どう考えてもアウト」な代物が混入することがございますが、そうした企図をくみ取った上でご了承いただければ幸いです。


おれの名は「宇宙 人(うちゅう じん)」。

地球から遠く離れたある惑星から来て日本に帰化した、ワンフォア俺、オールフォア俺、な地球外生命体だ。

夏だな

花火大会行ったんだけどな。

ちょっと野暮用があってよ、帰省しなくちゃなんないんだわ。

今荷造り中なわけ。

つうわけで、おまえらにはわりいんだけどよ、今日は、ここまでっつうことでさ、地球上で活躍するおれの仲間を紹介して早速締めたいと思うんだよ。


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コードネームはベネトン。特技は「ゴムゴムのピストン」

・・・・下ネタじゃねえか。


あばよ

宇宙 人

宇宙 人(うちゅう じん)のSF絵日記 vol.5

※当欄に掲載されているイラストは全て「一発本番・無修正」で描かれております。ペンを握ったが最後、決して消しゴムの類は使わず「勢い」とか「いてまえ精神」を思い切り尊重しちゃおうという企画の性格上、一部イラストに、一般的な大人のジャッジを踏まえると「どう考えてもアウト」な代物が混入することがございますが、そうした企図をくみ取った上でご了承いただければ幸いです。



おれの名は「宇宙 人(うちゅう じん)」。

地球から遠く離れたある惑星から来て日本に帰化した、ちょっくらずぼらな地球外生命体だ。

先週ほのめかした通り、スイミングスクールいってきたぜ

幾つか問い合わせがあったのできちんと答えておくがな、おれは生徒として通ってんだよ!!

こいつのおかげで、けっこう上達したんだぜ


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         規格外の白肌がそそるんだよな


ま、といいつつも、だ

そんなうみんちゅ的側面も持つおれ様のモットーであるところの「地球外生命体の地位向上」に影を落とす侵略者をまたも見つけたんだぜ

まあ見てけって


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2年1組 セルジオ越後 タイトル『パンチワイフDEエイリアン』


これは、「かっぱ寿司presents 第1回妻にしたい宇宙人コンテスト」で審査員特別努力賞に選ばれた香川県在住のセルジオ越後くんという小学生による作品だ。

はぁーあー

おれってなんなんだろう

僕の彼女はエイリアンってこと?え?それ成立してますか?

しゃあねえ、今回も絵以外は褒められたことのないおれ様が、時折見せるふとした笑顔でも描いてやろう。


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            ニヒルでわりいな


こういうギャップにぐっとくるわけだろ?あん?

そろそろおまえらの糞尿交じりの悩み相談に乗ってやりたい頃合なんだけど、今日この後、地元のツレと花火大会なんだわ。

というわけで、今日も最後は、地球上で活躍するおれの仲間を紹介して締めたいと思う。


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      コードネームはハゲ。特技は「人形性愛」


あばよ

宇宙 人

宇宙 人(うちゅう じん)のSF絵日記 vol.4

おれの名は「宇宙 人(うちゅう じん)」。

地球から遠く離れたある惑星から来て日本に帰化した、すっかりいなせな地球外生命体だ。

先週言い残したように、おれ、英会話教室に通っててさ

エイリアンにも押し寄せるグローバル化の波ってやつだな

ゆくゆくは英会話教室のマスコットを狙ってるってことは内緒だけどな


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       要はウサギだったらいいわけだろ?

ま、とりあえずそれは置いとくとしてだな

そんな野心あふるるおれ様のおしゃれなマニフェストであるところの「地球外生命体の地位向上」を揺るがす迷い子をまたも見つけちまった。

まあ見ろや


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1年5組三都州アレサンドロ タイトル『スーパーローリングスターミラクルマン』

これは、「かっぱ寿司presents 第1回最強宇宙人は誰なんだコンテスト」で佳作に選ばれた福島県在住の三都州アレサンドロくんという小学生による作品だ。

はぁーあー

おれ、もうわからないとかですらないよ

なんかあるよね、やたらと頭や肩にとげとか生やす文化が、小学生にはさ

しょうがねえから今回も絵以外にさしたる特技のないこんな世の中を憂う、おれの自画像を描いてやろう。


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             憂うおれの自画像

こういうの、待ってたんだろ?

おまえらの毒にも薬にもならないカスみてぇな悩み相談に乗ってやりたいけどさ、今日この後、地元のスイミングスクールでレッスンなんだわ。

というわけで、今日も最後は、地球上で活躍するおれの仲間を紹介して締めたいと思う。


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     コードネームは何でも屋。特技は「獣姦」

あばよ

宇宙 人

宇宙 人(うちゅう じん)のSF絵日記 vol.3

おれの名は「宇宙 人(うちゅう じん)」。

地球から遠く離れたある惑星から来て日本に帰化した、ほんのりワイルドな地球外生命体だ。

先週予告したように、おれはこないだ人生で初めて「合コン」というやつに参加してきた。

・・・・なに?

結果が気になるだって??

黙ってこれでも見やがれってんだ


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      おれとまきこちゃん(46)のツーショット


ま、物珍しさも手伝ってこんなところよ

得意のエイリアンジョークがバッシバシ決まってたからな

しかしだ

こんな調子で気分を良くしたおれの気高きミッションであるところの「地球外生命体の地位向上」に水を差す不届き者を見つけちまった。

とにかく見てくれ


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     2年1組 呂比須ワグナー タイトル『熊人』


これは、「かっぱ寿司presents 第1回創作宇宙人コンテスト」で審査員特別賞に選ばれた高知県在住の呂比須ワグナーくんという小学生による作品だ。

はぁー

おれ、悲しい通り越してもうわかんないよ

なぜに熊と足し算だ?

なぜにその目つきだ?

今回ばかりは頭にきたので絵以外にさしたる特技のない怒りに震えながら描いた怒るおれの自画像を見せてやろう。

これだ。


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               怒りの自画像


これできちんと伝わったことだろうな

おまえらのクソの足しにもなりゃしない悩み相談に乗ってやりたいけどさ、今日この後、英会話教室なんだわ。

まというわけで、今日も最後は、地球上で活躍するおれの仲間を紹介して締めたいと思う。


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コードネームはどんぐり。特技は「4点ポジションからのひざ蹴り」


あばよ

宇宙 人

宇宙 人(うちゅう じん)のSF絵日記 vol.2

おれの名は「宇宙 人(うちゅう じん)」。

地球から遠く離れたある惑星から来て日本に帰化した、ちょっとお茶目な地球外生命体だ。

突然だがお前ら、『トイストーリー3』は見たか?

エイリアンのおれが言うのもなんだが、あれはいいぞ。


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          見事な銃さばきだったぜ

こんなシーンあったかどうか、どころかこんな奴が出演してたかどうか、体の部位のディティールがぞんざい過ぎやしないかと、まあ出るとこ出たら訴訟にでもなりかねないが、それはともかくとしてだ。

おれの崇高なる野望であるところの「地球外生命体の地位向上」を阻みかねない輩をまた見つけてしまったんだ。

まあこれを見てほしい

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     3年2組ラモス瑠偉 タイトル『夢の宇宙人』

これは、「かっぱ寿司presents 第1回 夢で見た宇宙人コンテスト」で準グランプリに選ばれた京都府在住のラモス瑠偉くんという小学生による作品だ。

はぁー

おれはついぞ悲しいよ

なんでだ。

なんで足の処理はそんななんだ?

目つきもずいぶん悪いしよ

前回も言ったようにさ、おれとお前らはそれほど大差ねぇんだよ

今回も絵以外にさしたる特技のないおれが、下半身込みの無修正自画像をプレゼントだ。

ほらよ


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              おれの自画像


・・・うんまあ

絶句しちゃうお前らの気持ちが分からないでもないよ

ちょっと虫じみてるのね、おれって

で、で、で、でも、これでおれの全てを知ったと思うなよ

おれだってセール時期に街に繰り出したりしたいから今はこうやって世をしのぶ感じだけど、まだまだ月の満ち欠けとか気圧の関係とかで、フォルムは色々変わっていくんだからな!

・・・と色々払しょくできたところで

悩めるお前らの宇宙の藻屑同然の悩み相談に乗ってやりたいのは山々だけどさ

おれ実は、これから合コンなのよ

ま、次回その成果については報告するからよ

今日はこれくらいでご勘弁、つうことで。

最後は、地球上で活躍するおれの仲間を紹介して締めたいと思う。

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     特技は遷都。コードネームは「しかあたま」


あばよ

宇宙 人

宇宙 人(うちゅう じん)のSF絵日記 vol.1

おれの名は「宇宙 人(うちゅう じん)」。

地球から遠く離れたある惑星から来た、地球外生命体だ。

そんな一介のエイリアンに過ぎないおれが、今年の春、晴れて日本に帰化することが出来たある理由についてはこのブログで追々説明をしていくとして、おれは憂いている。

何はともあれこれを見てほしい。

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    4年3組 宮沢ミッシェル タイトル『宇宙人』

これは、「かっぱ寿司presents 第一回宇宙人似顔絵コンテスト」で見事グランプリを勝ち取った、東京都に住む宮沢ミッシェル君という小学生が書いたものだ。

…おれは悲しい。

日本は差別や格差がない国だと、祖国の両親は言っていたのに。

こんな宇宙人宇宙人したステレオタイプ、本当に信じてるやつらがいるなんてさ。

こんな誤解が繰り返されないように、絵以外にさしたる特技のないおれがこしらえた自画像を掲載しておきたいと思う。

これだ。

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             宇宙 人の肖像画

どうだろう。

お分かりいただけただろうか。

おれ「宇宙 人」は、お前らと一見ほとんど変わりないということを。(では逆にどの辺りが異なっているのかという話もまた追々)

さて、誤解の芽をすっかりつんだところで、このブログ「宇宙 人のSF絵日記」の主旨を説明しておこう。

まずおれの最大の目的は「地球外生命体の地位向上」だ。

おれは、たまたま運よく史上初めて日本国籍を取得し、帰化に成功することが出来たけども、これはほんのきっかけに過ぎない。

いつか故郷の両親と一緒にこっちで暮らせる日を夢見ている。

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            おれの愛する両親

こんな愛くるしい両親との生活のためにも、この絵日記を一人でも多くの人に見てもらい、エイリアンの素晴らしさをたくさんの人に理解してもらう必要がある。

そこでお前らが知らない最新の宇宙事情を報告して興味を引いたり、時にはお前らが抱える宇宙のチリにも及ばないちょこざいな悩みに、おれが宇宙的視野を駆使して答えてやってもいいとすら思っている。

というわけだから何か聞いてみたいことがあれば、このブログのコメント欄にでも気軽に書きこんでみてくれ。

まあとりあえず第一回はそんなところかな。

最後に、地球上で活躍するおれの仲間のひとりを紹介して締めてみようと思う。

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    コードネームはマライア。特技は「暗殺」


あばよ

宇宙 人

『新しいむかしばなし』連載終了のお知らせ

  • 2009.07.08 Wednesday
  • -
振り返ろうと思う。

ネットテキストなのに、分量とか行間のみっちり感が厄介だった連載であることはとうに分かっていた。

しかしそれを分かっていながら止められなかったのは、アイデアが次々あふれ出るからである。

これを見てほしい。

momo
        ≪桃太郎≫


私は、どんな物語を書く際でも必ず、こうした入念でかつ綿密なイメージ画像を描き、そこから作品世界を構築する。

こうした試みの裏側には、私が小説を書く者である以前に、絵を描く者として活動してきた、自身の半生が色濃くあるといえるだろう。

一たび筆をとれば神童だのなんだのとあげつらわれて生きてきた私にとって、何かを描くことは、バケットをかじることや、そのバケットにハムやチーズを挟むことや、そのバケットが最後には糞になり糞をひる時には得てして尿が出てしまうことと同じくらい、要するに必然的なことだったといえる。

だから私はこういうものを描いた。

かぐや
        ≪かぐや姫≫


「書くために描くのではない。お金が欲しいだけなのだ」、という私の往年の名言が、どれほど君たち庶民に伝わるのか、はなはだ疑問ではあるが、ひとつだけ言えることはつまり、私にとってこの「新しいむかしばなし」という連載は、ひとつの生きる糧であったということだ。
その証拠がこれである。

さるかに
      ≪さるかに合戦≫


作品には作家自身が投影されるとはよくいったものだが、今回を含む全24回が、私の分身であることはこれを見ればよりくっきりと分かるはずである。


しんでれ
   ≪白雪姫VSシンデレラ≫


しかしまあ、こうした作業で私は消耗するのである。
ゆえに今回で、この連載はひとまず終了。

私が描くのを得意とする世界的な人気者の肖像画をもって、最後の挨拶とかえさせていただきます。

みっきー
      ≪舞浜においでよ≫


肉布団京一

(シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第十一話(最終回)

シンデレラが部屋に入るために扉を開け、そこを白雪姫の面影乏しいなんか気持ち悪いの、が急襲する。

咄嗟に反応したシンデレラは、召使時代に暗闇での小動物への対応などで培ったその俊敏さで、毛むくじゃらで香ばしさと生臭さの同居したにおいを発するそいつの、うでぃおー、とか、めじゃれー、とか言いながらのタックルをぴゅいっと、かわす。

なぜかそのタイミングで再び、不自然に、扉は閉まる。

密室に二人。

タックルのどさくさにまぎれて部屋からの脱出をも考えていた白雪姫としては、もう何が何やらという感じで、ていうかこいつ綺麗な格好して腹立つんですけど、と、シンデレラを睨みつけ、そもそも二人で仲良くやっていこうなんて到底思えなかったし、なによりシンデレラ、かなりの臨戦態勢に入っていた。

シンデレラはシンデレラで、アドベンチャーの最中に不意に入った部屋でこんなのに襲われて、元々の育ちの悪さもあるし、おいそこのその汚い奴なんばしよっとね、という素直なむかつきもあり、結果的に、猛々しい眼差しでファイティングポーズをとるような、体の温まりきったファイターあとゴング待つだけ、という、そういうことに落ち着いていたのだ。

カーン。

なんか、鳴った。

女性同士のガチの喧嘩を実際に目の当たりにしたことのある人は分かるだろうが、最初に行われるのは大体が髪や服の引っ張り合いである。

引っ張り合ってなにがしかの優劣がついたところから、奇声を発しながら引っ掻いたり、マウントポジションから引っ掻いたり引っ掻かれたり、あとかじったりかじられたりかじられてもかじったり、あと引っ掻いたり―あれをキャットファイトと最初に命名した人は天才―まあ色々あって決着というのが、女子校の放課後に体育館の裏などで一年を通じて季節を問わずによく見られるタイプの女の決闘であり、今回のこれもそういう類のものだったと言っていい。

結果。

白雪姫、完膚なきまでにやられる。

今の見てくれはどうあれ、そもそもが姫である彼女はこうしたシビアな「争いごと」とは鋭く無縁だったわけで、それに引き換えシンデレラは今の容姿はどうあれ、そりゃもうウルトラハードな日々を送って来たのであって、そうした日常が育んできたたくましさには到底太刀打ちが出来なかったのである。

とうに消え入りそうな虫の息である白雪姫をちらりと見つつ、シンデレラは部屋を見渡す。

足元には白雪姫のものであろう糞尿が、既に床の木目などにまでみっちり染み付きこびりつき、元々は「白くてがらんどうの部屋」だったろうに、経年とはあなおそろしや、という狼狽を隠せない。

だだだだだだっだっだっだっだっだっだっだっだ。

何やら聞こえる。

だっだだだだっだっだどどどどどっどっどっどっどーーーーー

すごく聞こえる。

・・・・・・・

ピタッとやむ。

どん、ぎぃぃぃぃぃぃぃ。

扉が、勢い良くちょっと開く。

白雪姫の体が邪魔になって、扉の勢いが、死ぬ。

ざざざっと動く白雪姫の体。

いやでも視界に入る、賑やかな人々。

ぱぱかぱんぱんぱーん。

シタールが出せる最大限ファンキーな音。

陽気な顔をした派手な衣装を身にまとった、満面の笑みを浮かべた・・・・ま、じょ?

魔女だ。

あの魔女だ。

そう気づくや否や、魔女と目が合う。

シンデレラを視界にとらえその像が網膜に映し出され、脳にそれが伝わり認識した魔女の、顔はみるみると青ざめていく。

さっと視線を落とすと手元には何やら看板的な、そういうのを持っている。

魔女はそれを咄嗟に隠す。

ちょっと見えた範囲で、シンデレラは「ドッキ・・・成功」までは確認した。

リ、だろう。

隠れていた文字は「リ」だろうが。

魔女は引き連れた賑やかな人々と一緒に部屋に入ってきて、シンデレラ以外にもう一人、部屋にいることを確認する。

・・・・・・・・

いまは、もう、動かない。

そもそもが白雪姫が仕掛けてきた争いであり、さらに、先程の扉を開けた勢いでとどめをさされたのだろう。

だがそんな細かい状況は彼らには関係がない。

2年越しの監禁ドッキリ、というどだい無茶な企画がハッピーエンドで終わると思っていた彼らの思い込みの強さは、なかなかのものだ。

魔女「お、まえ」

シンデレラ「・・・」

魔女「台無し、じゃないか」

シンデレラ「・・・すいま、せん」

目の前でドッキリをかけ大成功を告げるはずだった白雪姫がボロボロの遺骸となり、その近くで軽傷は負っているが元気に佇んでいるシンデレラがいるという状況は、彼らにとっては実に、「十分」だった。

魔女「逃がさない、からな」

シンデレラ「・・・はい」

あの王子も苦く笑っていた。


・・・・・・・・・・・・・


少し時が経つ。

シンデレラ、とかつて呼ばれていたその女は、いつのまにか二人の娘を産んだ。

あれは誰の子なのか、と口にすることはタブーとなっていた。

城中の誰もが知っていたが城中の誰もが知らないことになっていた。

その娘の一人は生まれてすぐに城を追い出され、とある目の釣りあがった手厳しい継母の下に預けられた。

もう一人は、城で大事に大事に育てられた。

シンデレラ、とかつて呼ばれていた女は、いつのまにかコスプレを趣味とするようになり、若干の魔法とかもたしなみ、対外的には真っ白な部屋に閉じ込められつつも、一人っきりでもまあまあ楽しんで、何やら幻を見てはボソボソとしゃべるという日々を送っていた。

そんなでも、城に残した娘を可愛がっていたかつてシンデレラと呼ばれていた女だったが、ある日、とある決断をする。

とある決断・・・・・・・・・・・



あの娘の大好きなリンゴに毒を仕込みながら、メルヘンなカボチャの馬車をせっせと仕込みながら、一人ごちる魔女がそこにはいたのだった。

ひすとりー、りぴーつ、いっとせるふ


はい。




めでたしめでたしだね。





終わり

(シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第十話

地獄のような日々でした。


真っ白な部屋にぽつねんと一人。


すっかり閉じ込められてただやみくもに呆然とするだけ。


開かずの間、という言葉があるけれど、開かずの間は外側からだけじゃなくて内側からも開かなかったりするんだぞ、という所を是非とも主張したい私です。


こちら側にはドアノブすらないのです。


ただ壁に切れ目が入っている、扉の様なもの、がそこにはあるのです。

終わり。


かと思うけれど・・・


でもです。


しかしです。


部屋の中身をよく吟味してみれば隠し扉があったり、その奥は食料庫だったり、温い便座の水洗便所が完備されていたり、まあ生活するには困らないっちゃあ困らないそういう環境がとりあえずはあって、風呂はないんだけどね、えっとそのこれ、なんですかシェルターなんですか、と、聞きたくなるようなまあとにかくそういうのだったんです。


窓ひとつない真っ白なこの部屋で、とりあえず白雪姫に出来ることと言ったら脱出の方法を考えるというそれに尽きたわけですが、いかんせんなにかその糸口となるような、例えば鋭利な感じだったり鈍器チックなものであったりというのは、すべからく無くて、仕組まれたように無くて、となると、とりあえず食うには困らない(お風呂はなかったですけどね)この状況を生かして、自分がこの部屋に入って来た扉こそ、自分が外界にアプローチを図る最後の手段なのだろうと自らに言い聞かせながら、その策を練っておるのでした。


ただ。


姫ですから。


我慢強くはないのですから。


あまり色々と考えることに長けてはいないのでして。


扉の様なものの前でうとうとまったりまどろんでまどろんで、というような茫漠とした時間をただなんとなく過ごしていたら、結構な年月が経っていたのです。


チャンスが無かったわけではありません。


時折、何かの拍子にこの部屋に不意に迷い込んだ誰かが、扉を開けることは幾度かあったのですが、そういう時に限って白雪姫はカンパンだのアルファ米だのといった食よりも保存という機能が前に出た非常食をチビチビやっているのです。


ひぃぃぃぃとか


うぇぇぇぇとか


北斗の拳の雑魚キャラよろしく、白雪姫のおそらくは見てくれを視界にとらえ(だって風呂が・・・)、おののいて去っていくので、咄嗟にそちらに向かい、何とか脱出を試みるのですが、いつもいつでもすんでのところで、ダメなのでした。


その日は、何か狼煙めいたものが上がったような全然上がってないような、まあどっちかよく分からないというのが正直なところですがとにかく直観的にそう思って、ハナから扉の様なその前に、げへげへいいながら待ち構えていたのです。


・・・・


またいくらかの時が流れました。


狼煙なんて上がっていなかったのだ、と諦めることはたやすく何度もそう考えてもいたのですが、そうして諦めた途端にそこが開かれでもしたら、白雪姫はもういよいよもって再起不能に陥ってしまうと考え、それも出来ず、飲食せずとも糞尿まみれで(なぜだか糞も尿も留まるところを知らないのです)、やはりずっと待っていたのです。


・・・・・


・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?


遂に開きました。


そこにはうら若き、なにか美しさをかさに着たようなそういう忌々しいタイプの女がやや驚いた表情で立っておりました。


別段、その女に恨みがあったわけでもないのですが、たまらず、何もかもがたまらず、ぎぇぇぇぇとかひょぇぇぇぇとか、なんかそういう魔女的な奇声を上げつつ、襲いかかってしまう白雪姫なのでした。


あまりにも醜すぎる、女たちのバトルが、その瞬間に何の前触れも前兆もなく突然どっどーんばっしーんがっしゃーんと始まったのですよ。



続く(次回、遂に最終回!)

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