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アーカイブ: 2009/04/29

(シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第二話

わたくしは白雪姫。

名前の通り、完全に姫。

父上はわたくしが生まれる前になんか馬のトラブルで死んじゃいました。

母上は自称魔法使いです。

彼女にしか見えない魔法の鏡にしゃべりかけては、自分より美しい女を探す日々を私の物心がついたころからずっと、送っています。

ほとんど魔女ですね。

母上の美への執着は凄まじかったです。

ドホモルンリンクル的なものはもちろんのこと、ヒジャモケッチャナムルンとか言う無名の薬草取りに断崖絶壁まで行ったり、ロデオマシーンの存在を知るや否や馬車馬で試したり、まあ要するに彼女の生き方そのものがビューティコロシアムでした。

そんな母上は、鏡が「お前より美しいのはお前の娘だ」と言ったとわめきちらし、パニックしパニックしパニックし尽くした後、わたくしを城から追放しました。

姫なのに。
あぁ姫なのに。

身一つで城から放り出され、森の中をさまよっていたわたくしに、救いの手を差し伸べたのは、小さなドワーフたちでした。

新手のナンパかしら。
それともキャッチ?

そう思わないではいられなかったのです。
でも違いました。

だって彼らに私の貞操を奪取することなんて出来る筈ないもの。
彼らの体のサイズが、そこから推測される生殖器のサイズが、その事実をはっきり物語っていたんだもの。

でもなんなのかしらこのちんちくりんたちは。

一度疑い始めると想像力がとどまることはありませんでした。

彼らは夜になると何らかのモンスターにでもなるのではないかしら。

激怒して眼が白くなり皮膚が緑色に変色し筋肉が盛り上がって着ていた服が裂け巨人に変身するとか、まあそれは私が好きな超人ハルクだけど、悲しみの巨人・超人ハルクにかつがれてわたくし諸国漫遊の旅路につくのだわ街とか文化遺産とかを無造作に破壊して人々の嫌悪な視線を全身くまなく浴びるのだわそうよそうなのよそうに決まっているのだわよきゃあああーーー!!!

・・・でも、元々深く悩んだりしない性格のわたくしは、七人のドワーフとの小粋な会話でそんなことはすぐに忘れてしまいました。

赤ドワーフ「姫、ご飯は何食べます?」
白雪姫「グラタン」
青ドワーフ「グラタンはちょっと・・・材料の関係があるもんですから」
白雪姫「じゃあピザ」
黄ドワーフ「チーズがね、ないんですよぉ」
白雪姫「ピザ」
緑ドワーフ「姫?聞いてますか?チーズがちょっとご用意できないんですよ」
白雪姫「誰?」
茶ドワーフ「なんですか?」
白雪姫「誰のせいなの?チーズがないのは」
黒ドワーフ「・・・いや誰のせいと言われましてもねぇ」
白雪姫「お前が悪いのか?」
白ドワーフ「いえいえ、そんなことないです」
白雪姫「七人並んで。歯食い縛ってくれる」
ドワーフ一同「ひぃぃぃぃぃぃーーーー」

夢のような毎日。
たいそう楽しかったわ。

でもそういうのってあんまり長く続かないものなのよね。
わたくしの場合もそう。
突然の出来事に、いろいろが溶けていっちゃうことって、あるよね。

週明けの月曜日。
変装丸出しの母上が、なぜだか魔女っ子のコスプレを身にまとった姿で玄関先に立っていたあの朝が全ての始まりだったのです。

続く
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