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アーカイブ: 2009/02/18

「桃太郎+官能小説」 第四話

ショーとロンとポーは揃いも揃ってみなしごだった。

みなしごだったからこそ、肉食する側とされる側という種族も超えて、まあたまにはうっかり羽根噛み切ったりなんとなく耳突き破ったり思いつきで足半分くらいもいだりはしたけれど、ある意味それも「じゃれあい」の範疇に含めることが出来ると皆それぞれが信じていたし、あ、そうだ言うの忘れてたけどショーがイヌでロンがキジでポーがサルね、なんかそういう距離感が心地よかった。

で、お団子発見。

味、まあまあ。

目の前の裸の男が、言葉巧みに三匹を「鬼退治」に連れて行こうとする一連の説明の中で、実はこいつもまたみなしごだと分かり、まあ一緒に行くことにした。

で、迷子になった。

みなしごで迷子。

0点である。

都は思いのほか広く冷たく、そしてよそ者に手厳しい。

それゆえに叩き出された0点だ。

とぼとぼ

とぼとぼとぼ

そんな音を立てながら歩いていた。



都の外れでスプリングセールしてた老婆が、あまりにも優しかったので、一人と三匹は見事に発情した。

「獣込み1600円」

はっきりしてたのは、ここで1600円を払ってしまうと、財布が「おしまい」になるということだった。

でもそうこう考える前に、桃太郎は既に、ていうかずっと、全裸だった。

どうせ0点じゃねえか。

おしまいからはじめようじゃねえか。

そして獣たちは仲睦まじく、同じエロティックコスモスな妄想にその小さなオツムをすっかり支配された。

ちなみにそのエロティックコスモス、こんな内容である。

・・・・・・・・・・・・・・・・

ショーとロンとポーはすぐに片道切符を購入した。

帰ってくる必要などない、ただいくだけ。
そういう決意があったのだ。

ウリザネ(仮名・91)の半自動扉を開閉ボタンによって開けてみると、連結部分の揺れがすさまじく、「モハ!」とか「クハ!」と吐息をもらさせることに成功。

獣たちの御成門駅にもう戻らないという決意は固かったが、たまプラーザから亀有を結ぶリニアモーターガールと化した彼女へのピストン輸送は、パンタグラフからセクシャルエナジーを取り入れようと奮闘しても結局、脱線と人身事故を起こすばかり。

そんな獣たちのチンチン電車を尻目にワンマン電車でかつ快速ラビットなウリザネは、簡単にトンネルを抜けちゃって、まっちろな世界ばかりがその眼前には広がっていたのである。

ぽぽー

あ、汽笛が鳴った。

よし、ぼくたちのふるさとにむけて、しゅっぱつしんこーだ。

わーいわーい。

・・・・・・・・・・・

というような、予想にたがわぬやや頭の足りないものであった。

そして、ウリザネは言った。

あすこの橋さ渡ってどんつきが、鬼が島だで。

キター

全員文無し骨抜きワールドイズエンドって感じだったが、まあとりあえずそっちに歩き始めた。

ずいぶん寄り道が過ぎたが、いよいよ次回、最終回である。

続く
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