- 2010.08.15 Sunday
- 福田の蜻蛉日記
福田の蜻蛉日記~すばらしきバグズライフ~
第03回「ヘラクレスオオフクダカブト」
【某月某日】
高校時代の部活仲間の飲み会が地元であってね。
普段、大塚ニューコーポのメンバーといると
あんまり気付けないことなんだけど、
いやあ、着実に来てるわ、結婚&出産ラッシュ。
なんというかな、
具体的に日付が決まっているとかじゃないのよ。
むしろ、決まってないにもかかわらず、
「まあ、今の相手と次はもうそろそろ結婚かな」
みたいなことを自然と匂わせてくるあの感じね。
人として段階を踏んで生きている以上、
当然踏むべき手はずとして結婚や妊娠が
視野に入ってきてますよねうちら、みたいな。
意外とそういうところ堅実だな神奈川県民!
というのが偽らざる私の感想であって。
だって、結婚するってことはもう恋愛もセックスも
自由にしてはいけないってことだよ。
自分や相手が心変わりしないという保証と信頼を、
なぜたかだか27歳にして持てるのか。
けっこう本気でわからない虫が今、ここに一匹いるわけ。
みなさん、「自分には人並みの結婚生活が送れる」という
その漠然とした確信はどこから湧いてくるの?
というのを聞きたくて、とうとう聞けなかった福田なのです。
ま、虫なんで聞きたい以前にしゃべれなかったわけですけど。
*****
しかしでもあれだよ。
私が何よりも感動したのは、
虫になってしまったという信じがたい事態にもかかわらず、
同級生たちがこれまでとさほど変わらず
私のことを受け入れてくれたことだ。
みんな私のことを昆虫だとは見なさず、
虫けら同然の人間として扱ってくれた。
「大丈夫だよ、前から虫みたいなところあったし」
「虫になって、むしろしっくりくる感じだよね」
「今まで虫じゃなかったことが不思議なくらいだよ」
「あれ、ていうかとっくに虫だと思ってた」
みんな、私のことを傷つけまいと必死でフォローしてくれる。
私の生態を察してか、会話の中に不用意に
「駆除」「キンチョール」「触角が取れる」
といったフレーズが出てくるのを避けているのがわかるが、
その他はこれまでと変わらずに接してくれている。
みんな、ありがとう。
*****
夜は部員同士で結婚した夫婦の家に泊まりに行ったのだが、
翌朝、玄関先にカブトムシの頭が
いくつも転がっていておったまげた。
え、なに?
なんかのサインなの?
ドリカム的に言えば、
「カブトの頭5体陳列 シ・ン・デ・イ・ルのサイン」なの?
もしや、これが昆虫界の通信手段?
虫になった私に、虫神様(そんなのいるのか知らんが)からの
ムシムシテレフォン(そんなの以下略)なのか?
テキパキとパニックに陥りそうになったのもつかの間、
家人に聞けば、夏に入ってからなんとほぼ毎朝、
カブトムシの頭部だけが落ちているのだという。
たぶん、猫やアライグマなどの動物の仕業だろう、とのこと。
そりゃあ、佐川急便のお兄ちゃんが不在連絡票の代わりに
カブトの頭をへし折って玄関に置いていたらすごく嫌なので、
ここはなんとしても動物の仕業であってほしいのだが、
するとあれか、カブトムシを食べる動物にとって、
あのツノの部分はエビフライでいうところの尻尾、
ローストチキンでいうところのアルミホイルなのね。
たぶん、ツノの部分を手で持って食べるんだろう。
いやーん、かわいい。
それよりも、毎朝食べ残せるほどたくさんの野生のカブトが
大船に生息していたことに一抹の驚きを禁じ得ないよ。
「え、カントリーマァムって白あんが入ってるの?」くらいの小さい驚きだけど。
俺も食べられないように気を付けなければ。
第03回「ヘラクレスオオフクダカブト」
【某月某日】
高校時代の部活仲間の飲み会が地元であってね。
普段、大塚ニューコーポのメンバーといると
あんまり気付けないことなんだけど、
いやあ、着実に来てるわ、結婚&出産ラッシュ。
なんというかな、
具体的に日付が決まっているとかじゃないのよ。
むしろ、決まってないにもかかわらず、
「まあ、今の相手と次はもうそろそろ結婚かな」
みたいなことを自然と匂わせてくるあの感じね。
人として段階を踏んで生きている以上、
当然踏むべき手はずとして結婚や妊娠が
視野に入ってきてますよねうちら、みたいな。
意外とそういうところ堅実だな神奈川県民!
というのが偽らざる私の感想であって。
だって、結婚するってことはもう恋愛もセックスも
自由にしてはいけないってことだよ。
自分や相手が心変わりしないという保証と信頼を、
なぜたかだか27歳にして持てるのか。
けっこう本気でわからない虫が今、ここに一匹いるわけ。
みなさん、「自分には人並みの結婚生活が送れる」という
その漠然とした確信はどこから湧いてくるの?
というのを聞きたくて、とうとう聞けなかった福田なのです。
ま、虫なんで聞きたい以前にしゃべれなかったわけですけど。
*****
しかしでもあれだよ。
私が何よりも感動したのは、
虫になってしまったという信じがたい事態にもかかわらず、
同級生たちがこれまでとさほど変わらず
私のことを受け入れてくれたことだ。
みんな私のことを昆虫だとは見なさず、
虫けら同然の人間として扱ってくれた。
「大丈夫だよ、前から虫みたいなところあったし」
「虫になって、むしろしっくりくる感じだよね」
「今まで虫じゃなかったことが不思議なくらいだよ」
「あれ、ていうかとっくに虫だと思ってた」
みんな、私のことを傷つけまいと必死でフォローしてくれる。
私の生態を察してか、会話の中に不用意に
「駆除」「キンチョール」「触角が取れる」
といったフレーズが出てくるのを避けているのがわかるが、
その他はこれまでと変わらずに接してくれている。
みんな、ありがとう。
*****
夜は部員同士で結婚した夫婦の家に泊まりに行ったのだが、
翌朝、玄関先にカブトムシの頭が
いくつも転がっていておったまげた。
え、なに?
なんかのサインなの?
ドリカム的に言えば、
「カブトの頭5体陳列 シ・ン・デ・イ・ルのサイン」なの?
もしや、これが昆虫界の通信手段?
虫になった私に、虫神様(そんなのいるのか知らんが)からの
ムシムシテレフォン(そんなの以下略)なのか?
テキパキとパニックに陥りそうになったのもつかの間、
家人に聞けば、夏に入ってからなんとほぼ毎朝、
カブトムシの頭部だけが落ちているのだという。
たぶん、猫やアライグマなどの動物の仕業だろう、とのこと。
そりゃあ、佐川急便のお兄ちゃんが不在連絡票の代わりに
カブトの頭をへし折って玄関に置いていたらすごく嫌なので、
ここはなんとしても動物の仕業であってほしいのだが、
するとあれか、カブトムシを食べる動物にとって、
あのツノの部分はエビフライでいうところの尻尾、
ローストチキンでいうところのアルミホイルなのね。
たぶん、ツノの部分を手で持って食べるんだろう。
いやーん、かわいい。
それよりも、毎朝食べ残せるほどたくさんの野生のカブトが
大船に生息していたことに一抹の驚きを禁じ得ないよ。
「え、カントリーマァムって白あんが入ってるの?」くらいの小さい驚きだけど。
俺も食べられないように気を付けなければ。
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