- 2009.06.03 Wednesday
- 新しいむかしばなし > (シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説(新しいむかしばなし第4シリーズ)
あーし的に、舞踏会から帰って来てからの生活は悪くなかった。
相変わらず灰まみれだしあんま風呂とかも入れない毎日だったからこういう言い方が果たして正しいのかどうか、微妙なラインだったけど
垢抜けた
っていうのがなんか一番しっくりくるような、そういうサッパリ感だった。
でもそんな爽快リフレッシュなあーしに、マンデラとアラファトとスーチー含む継母一同、何かとあらぬ疑いをかけたものだった。
マンデラ「やいシンデレラ、ここんとこずいぶんご機嫌じゃないか。なんだいなんだい、親友のドブネズミが婚約でも発表したかい?」
アラファト「何言ってるのマン姉さん違うわよ。シンデレラが親友だったドブネズミと友情を遥かにこえて晴れて結納を交わしたって話じゃないの」
スーチー「マン姉もアラ姉も読みが甘いわ。シンデレラは婚約してたドブネズミにすんでのところで捨てられて、落ち込みながらもめげずに頑張ってるのよ。ねぇ?」
すごいイマジネーションだと思った。
人は、いじわるをするという目的のためだけにこんなにも色彩豊かにあらぬ物語をクリエイトすることが出来るのだわ、と感心するばかりだった。
シンデレラ「とんでもねえですよ。奥手なもんで、ドブネズミさんにはまだ声もかけられてねえです。お姉さま方に恋の手ほどきをいつかしてもらいたいもんです」
こういうあからさまで巧みでOLの皆さんが今日からでもすぐに使えそうなおべっかにも、どこか誇りを持って取り組むことができる自分がいることに、あーしは喜びを覚えていた。
それもこれも、あの一夜だ。
あの一夜で浴びた視線の数々が、あーしをこうもいい意味で増長させていたのだ。
増長しつつの、ある日のことだ。
明らかに街がどよめいていた。
理由は簡単だった。
白馬に乗った王子様、とはとても言い難い、サラサラだったヘアが無重力を感じさせるほどに逆立ち、鋲やらクギやらドクロやらで全身をガッチガチに固めた、舌も俄かにはみでつつ目もドロリンとした元王子が、シタールの重奏の音色響き渡る中を専用のエレファントに乗ってやってきているのを目の当たりにしたのだ。
そらどよめくわな。
思わず、あーしは汚いまんま、忌まわしきお屋敷をえいやっと、飛び出した。
ちょうどエレファントの巨大な左後ろ足が、お屋敷の目の前を通過しようとする時で、元王子はあーしにすぐ気が付いた。
シンデレラ「なにしにきたんだい?」
元王子「ど、どうだ?これで」
シンデレラ「60点だね。赤点ぎりぎり」
元王子「・・・赤点」
シンデレラ「あと40点はなんだかわかる?」
元王子「・・・ちょっと」
シンデレラ「ばかだねぇ。ばかばかばかばかばかあーしに決まってんだろ?あーしが横にいれば100点満点ですらなくなるよばか」
元王子「え・・・てことは」
シンデレラ「行ってやろうじゃないかあんたの城に」
元王子「ほほんと?」
シンデレラ「身なりはこんなでもね、嘘はつかないあーしだよ。ほら、あーしの靴貸しなあんたが持ってんだろ気持ち悪いボケくそおたんこなす」
こうしてあーしはエレファントに揺られて城に向かった。
その後、継母たちがどうなったかはよく知らない。
従順な召使を失って、元々結束力のなかったあいつらのことだから、あっさり野垂れ死んでるかもしれない。
それはそれで、まあありだ。
だってあたし、いま、最高に幸せだもの。
てへ。
続く
相変わらず灰まみれだしあんま風呂とかも入れない毎日だったからこういう言い方が果たして正しいのかどうか、微妙なラインだったけど
垢抜けた
っていうのがなんか一番しっくりくるような、そういうサッパリ感だった。
でもそんな爽快リフレッシュなあーしに、マンデラとアラファトとスーチー含む継母一同、何かとあらぬ疑いをかけたものだった。
マンデラ「やいシンデレラ、ここんとこずいぶんご機嫌じゃないか。なんだいなんだい、親友のドブネズミが婚約でも発表したかい?」
アラファト「何言ってるのマン姉さん違うわよ。シンデレラが親友だったドブネズミと友情を遥かにこえて晴れて結納を交わしたって話じゃないの」
スーチー「マン姉もアラ姉も読みが甘いわ。シンデレラは婚約してたドブネズミにすんでのところで捨てられて、落ち込みながらもめげずに頑張ってるのよ。ねぇ?」
すごいイマジネーションだと思った。
人は、いじわるをするという目的のためだけにこんなにも色彩豊かにあらぬ物語をクリエイトすることが出来るのだわ、と感心するばかりだった。
シンデレラ「とんでもねえですよ。奥手なもんで、ドブネズミさんにはまだ声もかけられてねえです。お姉さま方に恋の手ほどきをいつかしてもらいたいもんです」
こういうあからさまで巧みでOLの皆さんが今日からでもすぐに使えそうなおべっかにも、どこか誇りを持って取り組むことができる自分がいることに、あーしは喜びを覚えていた。
それもこれも、あの一夜だ。
あの一夜で浴びた視線の数々が、あーしをこうもいい意味で増長させていたのだ。
増長しつつの、ある日のことだ。
明らかに街がどよめいていた。
理由は簡単だった。
白馬に乗った王子様、とはとても言い難い、サラサラだったヘアが無重力を感じさせるほどに逆立ち、鋲やらクギやらドクロやらで全身をガッチガチに固めた、舌も俄かにはみでつつ目もドロリンとした元王子が、シタールの重奏の音色響き渡る中を専用のエレファントに乗ってやってきているのを目の当たりにしたのだ。
そらどよめくわな。
思わず、あーしは汚いまんま、忌まわしきお屋敷をえいやっと、飛び出した。
ちょうどエレファントの巨大な左後ろ足が、お屋敷の目の前を通過しようとする時で、元王子はあーしにすぐ気が付いた。
シンデレラ「なにしにきたんだい?」
元王子「ど、どうだ?これで」
シンデレラ「60点だね。赤点ぎりぎり」
元王子「・・・赤点」
シンデレラ「あと40点はなんだかわかる?」
元王子「・・・ちょっと」
シンデレラ「ばかだねぇ。ばかばかばかばかばかあーしに決まってんだろ?あーしが横にいれば100点満点ですらなくなるよばか」
元王子「え・・・てことは」
シンデレラ「行ってやろうじゃないかあんたの城に」
元王子「ほほんと?」
シンデレラ「身なりはこんなでもね、嘘はつかないあーしだよ。ほら、あーしの靴貸しなあんたが持ってんだろ気持ち悪いボケくそおたんこなす」
こうしてあーしはエレファントに揺られて城に向かった。
その後、継母たちがどうなったかはよく知らない。
従順な召使を失って、元々結束力のなかったあいつらのことだから、あっさり野垂れ死んでるかもしれない。
それはそれで、まあありだ。
だってあたし、いま、最高に幸せだもの。
てへ。
続く
- Newer: (シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第八話
- Older: (シンデレラ×白雪姫)+ケータイ小説 第六話