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第1回「デブと偏見」(1/4)

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第1回「デブと偏見」(全4回)


石塚英彦、伊集院光、パパイヤ鈴木、内山信二、
松村邦洋、マツコ・デラックス、内山信二、芋洗坂係長、
森公美子、内山信二、森三中、内山信二、内山信二……。

これまで、数々のデブタレントたちが世間から愛され、
テレビで一世を風靡しては、私たちの前から姿を消していきました。


…まあ、この中で実際姿を消したのは内山君くらいですが、

そして印象操作のために内山君を水増ししてしまいましたが、

しかし、問題はそこではありません。


彼らは本当に愛されている(いた)のでしょうか?

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キャラクターとして独り歩きした、
いわば「記号としてのデブ」をただただ浪費され、
使い捨てされてきただけではないでしょうか?


そこで、我われ大塚ニューコーポは、
いわれなきデブへの差別・偏見をなくし、
内山君の悲劇を二度と繰り返さないためにも、

みなさんにデブのありのままの魅力と
向き合ってもらいたいという願いを込めて、
以下のようなプロジェクトを立ち上げました。


「日本一踊れるデブ・ぎたろー君のポーズ集を作って全国のデブに夢と希望を与えたい!!」


そして今回、このプロジェクトの主役である
ダンスカンパニー「コンドルズ」の新人・ぎたろー君に、

デブのリアルな実態と生きざまを教えてもらうための
緊急独占インタビューを敢行しました。

これからプロジェクト掲載終了までのおよそ1か月、
全4回にわたってその一部始終を掲載したいと思います。

gitaro_60-60.jpgデブの生きづらさの正体は“非デブの思い込み”


フクスケ 今日はどうぞよろしくお願いします。

ぎたろー お願いします!

フクスケ お腹空いてませんか? 肉の出前でもとります?

ぎたろー (少しムッとした顔で)…いや、大丈夫です。デブだからって年がら年中、肉を食いたがってるわけじゃないんで。

フクスケ あ、失礼しました。それでは早速ですが、ぎたろー君がダンサーを目指すきっかけになったできごとを…

ぎたろー 「肉の出前」ってなんですか。

フクスケ ……え?

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(はっはーん、コイツさては……)

ぎたろー …今、言いましたよね? 「肉の出前」って。

フクスケ あ、いや、なんか…デブの世界にはそういう肉デリみたいなものがあるのかなって…。

ぎたろー ないですよ。あなた「肉の出前」って見たことありますか?

フクスケ ……ないです。

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(コイツさては、デブの気持ちを何にもわかっちゃいねえな…)

ぎたろー ですよね? あなたが知らないものは、デブも知りませんからね? ていうかなに「肉デリ」とか名前つけてるんですか! 勝手にデブの世界観つくらないでください!

フクスケ ご、ごめんなさい! …実は私、生まれてこの方やせぎす体型で、「太る」ってことを経験したことがないんです。身長は173cmあるのに体重はずっと55キロくらいですし、正直、デブの人の気持ちがまったくわからなくて…

ぎたろー …あのですね、デブだからって別にあなたと違うものが見えてるわけじゃないんです。絶対音感の人みたいに、周りのものがすべてカロリーで見えてるわけじゃないんです!

フクスケ それはわかりますけど…。

ぎたろー そういう思い込みが、デブを生きづらくさせるんですよ。勝手に大食いだと思われて、食わないとがっかりされるし。食ったら食ったで、「お前が食うから高くついたよ」とか文句言われるし。僕はお酒が飲めないから、居酒屋でどんなに食べたところでみんなより得をしてるなんてことはないはずなのに…。

フクスケ たしかに…そういう先入観はあるかもしれませんね。

ぎたろー それに、デブが全員水に浮くと思ったら大間違いですからね? 僕は水に沈むんです。沈むタイプのデブなんです。だから泳げないんです。プールでふざけてつかまってくる奴がいると、張り倒したくなりますね。

フクスケ 海で遭難したときは、ぎたろー君につかまっても助からないってことですね。

ぎたろー ほら、そうやって人をすぐブイみたいに扱って…。

フクスケ あ、いや、そういうつもりじゃ…!

ぎたろー デブは体型をいじっておけば笑いになると思ってるのが浅はかなんですよ! あなた、細い道を通るときに「お前はここ、通れないだろう?」とかデブの友達に雑なネタふりしちゃうタイプでしょ? そのせいでスベるのはいつだってデブのほうなんですよ? そういう粗末なデブいじりが、デブを逃げ場のない袋小路に追い込んでるんです!

フクスケ なんか…すいません。


gitaro_60-60.jpgささやかれる「デブ40歳限界説」との戦い

ぎたろー 想像力ですよ、福田さん。みんな、デブへの想像力が圧倒的に足りないんです。たとえば今、僕がアクビをしますよね? 福田さんはどう思いますか?

フクスケ ええと……ぎたろー君、昨日寝てないのかなって…。

ぎたろー ハイ、もうすでにデブの壁にぶちあたってます。 きてください! もっとこっちにきてください福田さん! デブがアクビをしているからって、眠いとか、退屈に思っているとは限らないんです。デブは体が大きいから、そのぶん酸素を全身に行き渡らせようとして、人よりもアクビが多くなるんですよ。

フクスケ なるほど…言われてみればそうかな。

ぎたろー 想像してほしいんです! ユニクロで服が買えない苦しみを。制服のサイズがなくてバイトに落とされる悲しみを!

フクスケ 「デブあるある」じゃないですか。それは悲しいですね…。

ぎたろー 想像してください! 自転車のスポークが重さでしばしば折れてしまう悩みを。修理屋さんに持って行ったら、「2人乗りしちゃダメだよ」って、してないのに言われるつらさを。スポークどころか、立ち漕ぎしたらペダルが折れて、思いっきり転んで足が血だらけになったときの惨めさを…!

フクスケ なんかもう「あるある」って次元じゃないですね…。

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「立ち漕ぎでペダル折れたときはつらかった…」と悲痛な表情で語るぎたろー君

ぎたろー 僕とあなたの体格差を埋めるのは、想像力という名の贅肉です。僕たちが歩み寄るためには、あなたたちが想像力で太ってくれれなきゃいけないんです。

フクスケ ちょっと何言ってるのかよくわかりませんが、勉強になります……。あの、しゃべりっぱなしでのど乾きませんか? ホットコーヒーでも頼みましょうか。

ぎたろー ええと、じゃあ僕はクリームソーダでお願いします

フクスケ クリームソーダですか……承知しました。

ぎたろー あ、あ、あ…! あなた今「結局デブっぽいもの飲むんじゃねーか」って顔したでしょ?

フクスケ し、してませんよ!

ぎたろー それとこれとは別! それとこれとは別! 写真撮ってるから、絵的にそれっぽいものが欲しいだろうなっていう、僕なりのサービス精神じゃないですか!

フクスケ いいんですよ、好きなもの飲んでいただいて…。

ぎたろー 僕だってプロのデブキャラのはしくれです。デブのパブリックイメージを守るためにがんばってるんですよ!

フクスケ た、大変ですね…。

ぎたろー …福田さん、デブがデブキャラとして、これだけは守らなければいけないことってなんだかわかりますか?

フクスケ …痩せないようにすること?

ぎたろー いいえ、「清潔感」です。デブキャラは不快感を与えたらおしまいなんですよ。汗かきなのでなるべくこまめにTシャツを代えたり、ステージでお腹を出すときはお腹周りのムダ毛を剃ったり…。汗や毛といった人間としてのリアルな側面を見せないように、デブはなるべくファンタジックな存在であり続けなければいけないんです。

フクスケ じゃあ、体型を維持する上で気を付けていることはありますか? 健康面に不安はあったりします? 

ぎたろー …正直言って、不安しかないですよ。足腰に負担もかかるし、ときどき肝臓も痛いし…。

フクスケ え!? 肝臓自体が痛いんですか? それはヤバいんじゃ…。

ぎたろー だから、健康に気を付けようと思ったら、痩せたほうがいいに決まってるんです。デブキャラでいるというのは、命を削ってることと同じですから。僕はもう、あえて健康には気を付けないように気を付けていますね。

フクスケ なんだか壮絶だなあ…。

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「不安しかないですよ」と言いながらクリームソーダに笑顔を見せるぎたろー君

ぎたろー 僕、40歳くらいで死にたいなって思ってますから。

フクスケ ええー!? なんで?

ぎたろー やっぱり、健康面を考えると年齢的にも40歳くらいがデブでい続けられる限界なんですよ。でも、40歳になって頑張ってダイエットしたとして、それまでデブで売ってきた僕に今さら何の仕事ができると思いますか?

フクスケ でもほら、パパイヤ鈴木とか、痩せてもダンサーとして活躍してるじゃない。

ぎたろー 彼や芋洗坂係長は、もともと痩せていた頃に培ったダンススキルがあって、デブになっても踊れたから人気が出たわけじゃないですか。いわば、ダンサーが本業で、デブは副業です。でも、僕は生まれつきただのデブだったのが、スキルもなく踊っているだけ。本業がデブなんですよ。だから、デブを失ったら何も残らないんです…。

フクスケ なんか…悪かったね……変なこと聞いちゃって。でも、そういう業の深い人の話が俺、大好きなんだ。業の深い人の話が俺、大好きなんだ

ぎたろー どうして2回言ったんですか…?

フクスケ 次回は、デブの恋愛や食生活について、もっと掘り下げて聞いてみたいなあ…。少し長丁場になるけど、いいかい?

ぎたろー わかりました。じゃあ、お腹が空いてきたんで、ここに電話して出前とってもらってもいいですか?

フクスケ もちろんいいよ! ええと…「ドミノ・ミート」「肉ハット」「肉ーラお届け!」……なにこれ?

ぎたろー 肉料理の出前です。

フクスケ あるんじゃねえか!

<つづく>

第2回「デブと欲望」はコチラ

(文責・福田フクスケ)


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